自身の体験から専門医診療の重要性を痛感。腎臓・総合内科専門医としての経験を活かし、地域に早期治療の拠点をつくる
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。

小学生の頃、原因不明の湿疹に悩み、いくつもの病院を回った経験があります。最終的には大学病院で専門医の診療を受けて改善しましたが、当時も大学病院は非常に混雑しており、診察から帰宅までに多くの時間を要しました。専門医の診察の重要性と、受診の大変さを実感し、「もっと身近に専門医がいたらいいのに」と思ったのが最初のきっかけです。
もう一つのきっかけは、高校時代に経験した阪神淡路大震災のボランティア活動です。困難な状況下で助け合う人々の姿に胸を打たれると同時に、十分な医療を受けられず困っている人々の状況を目の当たりにしました。困っている人を笑顔にしたい、誰かを支えられる存在になりたい──そう強く思い、医師を志す決意を固めました。
これまでのご経歴と、携わってこられた主な疾患や症例について教えてください。
大阪大学医学部を卒業後は、大阪厚生年金病院(現・JCHO大阪病院)で、プライマリケアを中心に2年間の研修を受けました。研修を進める中で、腎臓が全身に与える影響を知り、「腎臓を診ることで、患者さんの全身の健康を総合的かつ長期的な視点で支えたい」と考え、腎臓内科の道を選びました。
その後、大阪労災病院、大手前病院にて、一般的な腎臓病から透析が必要な重症例まで、幅広い病期の患者さんの診療に携わり、内科医・腎臓内科医としての経験を積みました。直近の4年間は、堺市内の透析クリニックに勤務し、慢性腎不全が進行した末期腎不全の患者さんを中心に多くの症例に対応してまいりました。
先生が開業に至ったきっかけをお聞かせください。
これまで総合病院の勤務医として、腎臓疾患だけでなく心臓病や脳梗塞などさまざまな合併症に苦しむ患者さんと向き合う中で、「もっと早い段階で専門医が治療に介入できていたら進行を予防できたのでは」と感じることが多々ありました。
進行してしまった病気を治療することももちろん大事ですが、それ以上に病気を早期に発見し、早期に治療することがいかに重要かを痛感しました。また、総合病院では治療が終わると患者さんとの関係が途切れてしまうことが多く、「もっと身近で長期的に患者さんの健康を支えたい」との思いから、当クリニックを開院することにしました。

