内科と脳神経内科のスペシャリストによる地域密着型クリニックが、新型MRI・CTを導入し、脳卒中・心疾患の予防にも注力
下川先生が医師を志したきっかけと、脳神経内科を専攻された理由をお聞かせください。
子どもの頃から医学に興味があり、医師を志しました。脳神経内科を専攻したのは、医学部在学中に、当時、確たる治療法もなく、日本人の死因第一位だった脳卒中の克服に貢献したいと思ったからです。そのため、東京医科歯科大学医学部卒業後は、同大学の神経内科(現・脳神経内科)に入局し、東京医科歯科大学大学院に進んで、アルツハイマー病の研究で学位を取得しました。
脳卒中治療の発展のために、日常診療を務めながら、臨床研究などの学術活動にも取り組まれてきたと伺いました。
国立精神・神経医療研究センター神経研究所、東京大学分子細胞生物学研究所で脳や神経の難治性疾患の研究に取り組み、東京医科歯科大学では、医学部講師、神経内科病棟医長も務めました。大学院では、脳神経機能病態学助手を務め、脳卒中と筋疾患の診療と研究、講義に没頭していました。また、2005年に、東京医科歯科大学医学部臨床教授を付与されています。
下川先生は、脳神経内科のスペシャリストであると同時に、総合内科専門医の資格もお持ちで、幅広い領域の診療経験を積み重ねてこられたそうですね。
研修医時代には、東京医科歯科大学付属病院と東芝東林間病院で、循環器、消化器を含む内科診療全般に携わりました。特に、東芝病院では研修医が私一人だったこともあり、内科全般にわたってかなり濃密な指導を受け、幅広い経験を積むことができました。このとき、胃・大腸内視鏡検査や超音波検査等の検査技術についても習得し、開業前には、改めて小児科と皮膚科を勉強して2001年に開業しました。
白を基調にした院内には、大きな窓から光が降り注ぎとても素敵な空間ですね。
ありがとうございます。開業二十数年を経て2023年7月に、もともとあった場所の隣に新築移転しました。どんな方でも利用しやすいクリニックをめざし、診察室や処置室、MRI室、CT室、エックス線検査室、内視鏡室など院内はすべてバリアフリー構造になっています。
照明はお待ちいただく患者様がお疲れにならない柔らかで心地よい光の空間をつくる機能があるもの、24時間室内の温度を変えずに外気を換気できる設備、多機能トイレにはオストメイト用設備とおむつ交換台を設置するなど、できる限り患者さまとスタッフが快適にお過ごしいただけるよう配慮しています。
新たにMRIとCTも導入されたと伺いました。
はい。移転に伴い従来のものより検査時間が短く、音も静かな新型MRI装置(シーメンス社製 MAGNETOM Sempra 1.5テスラ)と、被ばく線量を低減しながらも画質の高い新型CT装置(シーメンス社製SOMATOM go)を新たに導入しました。
脳卒中は治療法が開発され、今では日本人の死因第4位※5になっていますが、「寝たきり」となる原因の第1位になるなど、後遺症が残りやすく、機能的にも生命的にも予後の悪い病気です。それは、心筋梗塞などの動脈硬化による心疾患も同様で、脳卒中も心疾患も、「予防に勝る治療法はない」ともいわれています。
当クリニックは、動脈硬化など生活習慣が原因で起こる脳卒中や心疾患について、発症前に前兆を見つけ、改善させることで予防につなげたいとの思いから、新型のMRIとCTの導入を決めました。地域の健康を支える地域密着型のクリニックとして、高血圧などの生活習慣病対策や、動脈硬化を防ぐ生活習慣の改善に向けた指導も含めて、これまで以上に早期発見と発症予防に努めていきたいと考えています。
※5 平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)