患者の不安に寄り添う丁寧な説明と正しい情報提供を信条に、誠実な診療を実践
日々の診療で心がけていることはありますか?

「ここで診てもらって本当によかった」と患者さんに感じていただけるような診療を心がけています。そのために、病状や治療方針、検査の必要性などについてはできる限り専門用語を使わず、わかりやすく丁寧に説明することを大切にしています。
患者さんの多くは症状そのものだけでなく、先が見えない不安を抱えて受診されているものです。だからこそ、診療のなかで正しい情報をしっかりと伝え不安を少しでも和らげることも私の大切な役割だと思っています。
最近も、ある患者さんから「先生の顔を見ると安心します」とか、「ずっと診てもらいたいから、先生も長生きしてくださいね」といった言葉をいただき、医師として何より嬉しく身の引き締まる思いがしました。こうした信頼に応えられるようこれからも真摯に診療を続けていきたいと思っています。
百瀬先生の勧めで内視鏡検査を受けたことで、早期がんの発見につながった患者さんも多いそうですね。
はい。生活習慣病の治療や管理で通院されている方の多くは中高年世代ですので、そうした患者さんには定期的な内視鏡検査をお勧めしており、これまでに食道がん、胃がん、大腸がんをはじめ、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、膀胱がん、乳がんといったさまざまな早期がんを発見することができました。いずれのケースも幸いにも早期で見つかり適切な治療を経て、皆さん元気に日常生活を送られています。その様子を見るたびに、やはり「早期発見の力は大きい」と改めて実感しますし、私自身も心から安堵しています。
特に豊島区では、50歳以上の方であれば、2年に1回無料で胃カメラ検査を受けることができます。こうした制度をぜひ有効に活用していただき検査のタイミングを逃さず、健康維持のために積極的に取り組んでいただければと思います。
内視鏡検査に抵抗感のある方に対して、専門医としてどのようなアドバイスをされているのでしょうか?
多くの方が、「お尻から出血があれば痔だろう」と思い込んでしまいがちですが、実際にはそうとは限りません。これまでにも痔の出血だと思っていたら、大腸内視鏡検査の結果は「大腸がんだった」「潰瘍性大腸炎が見つかった」といったケースは少なくありません。また、胸のつかえを逆流性食道炎だと自己判断し市販薬などで対処していたものの、胃内視鏡検査で調べてみたら実は食道がんが進行し食道の通り道を塞ぐほどの状態だったという、非常に残念な事例も経験しています。
「がんは治る病気」といわれる時代になってきたのは確かですが、それはあくまでも早期に発見され早期に治療が行われた場合に限られます。どこのがんでも早期にはほとんど症状がありません。たとえば“胃がん”という病名でも、進行度によって治療法や予後は大きく異なります。
だからこそ私は、「まだ大丈夫」と思い込まず症状の有無にかかわらず、積極的に内視鏡検査を受けていただきたいとお伝えしています。現在は、二人に一人はがんと言われる時代です。一人でも多くの方が重い病気を未然に防ぎ健康な毎日を送っていただけるよう、これからも丁寧に説明を重ねていきたいと考えています。
ところで、院内はシンプルで洗練された、とても素敵な空間ですね。

ありがとうございます。外観は、コンクリート打ちっぱなしとレンガを組み合わせることで、落ち着いた中にも品のある雰囲気を意識しました。内装はあえてシンプルに仕上げ余計な装飾を排したことで、静かに心を落ち着けていただける空間づくりを心がけています。
待合室の椅子も、長椅子ではなく一人ひとりにスペースがある個別の椅子を採用していますので、周囲を気にせずゆったりと診察をお待ちいただけるのではないかと思います。
さいごに、今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

今後も、がんの早期発見・早期治療の重要性を根気強く伝え続けていきたいと考えています。がんは早期に見つけることで治療期間も短く費用面や身体的な負担も格段に軽く済みます。初期の段階であれば、内視鏡で病変を切除できるケースも多く患者さんにとって大きなメリットとなります。なかでも食道がんは進行すると手術の難易度が上がり、抗がん剤治療、放射線治療も必要になり予後も厳しくなる傾向があります。喫煙習慣がある方(禁煙した方も)、飲酒する方(禁酒した方も)、お酒を飲むと顔が赤くなる方はリスクが高いとされており、50歳以上の方は年に1回の胃カメラ検査をぜひ検討していただきたいですね。
症状がなくても病気が進行していることは少なくありません。健康診断で異常を指摘された際にはそのままにせず、必ず医療機関を受診していただきたいと思います。ご自身の健康を守る第一歩は、「自分の身体に関心を持つこと」です。
当院は、地域のかかりつけ医として、皆さんの健康を見守り支える存在でありたいと願っています。気になる症状や検査のご相談など、どんなことでもお気軽にお越しください。