「全人的な医療」を実践するために呼吸器内科の医師に
はじめに、医師を志したきっかけと、呼吸器内科を専攻した理由をお聞かせください。
父が医師で、自宅の隣で内科医院を開業しており、小学生のときから地域医療に取り組む父の姿を間近で見て育ってきました。父の診療を受けて安心して帰っていく患者さんを目の当たりにして、「医師の仕事には非常にやりがいがあるな」と感じたんです。父のように「人のためになる仕事がしたい」という思いから、私も医師になることを決めました。
呼吸器内科を専攻したのは、全人的に患者さんを診療する内科医に興味があったからです。内科というのは診療する疾患がとても幅広く、循環器、呼吸器、消化器というように臓器や疾患によって専門分野が分かれています。その中で呼吸器内科は、がんやアレルギー、膠原病、新型コロナのような感染症、心臓や血管などの循環器系にも関わり、実に幅広い疾患を診療します。そうした呼吸器疾患を通して、患者さん一人ひとりのからだ全体を診る“全人的な医療”を実践できると思い、呼吸器内科を専攻しました。
原内科医院の院長に就任されるまでの経緯を教えてください。
群馬大学医学部を卒業後は、同大学医学部付属病院の呼吸器・アレルギー内科に入局して長年勤務していました。途中、社会人大学院で研究にも携わり、海外留学も経験しています。
呼吸器内科領域の幅広い疾患に携わってきましたが、特に、気管支喘息については、患者さんを診療しながら基礎研究にも取り組み、専門性を深めてきました。
さらに、肺胞(空気を取り込む袋)の壁「間質」にいろいろな原因で炎症が起き、息切れや咳などの症状があらわれる間質性肺炎についても専門的な知見を積んできました。中でも膠原病に合併する間質性肺炎については、相当数の患者さんの診療にあたってきましたので、かなり造詣が深まったと思います。
また、呼吸器は心臓などの循環器とも密接に関係しているため、心不全の診療など循環器についても研鑽を重ねてきましたので、幅広い疾患の診療経験を積めたと自負しています。
2024年4月に医院を継承されたそうですね。
いずれは父の医院を継ぐつもりではいたものの、大学病院では、研究や臨床を通して専門分野での知見が深まることに面白みを感じていましたし、役職も与えられて後輩の臨床指導にも取り組むなど、非常に充実していました。ですので、実は、継承することを迷っていた時期もあったんです。
それでも、将来のことをよく考えてみると、研究や管理職よりも臨床の現場で患者さんを診療するほうが私の性分に合っていますし、父も高齢になってきましたので、初志貫徹で医院の継承を決断しました。