呼吸器内科のエキスパートとして、大学病院並みの質の高い診療を提供
どのような患者さんが多く来院されていらっしゃいますか?
父は、脂質異常症の知識や臨床経験が豊富で、30年以上も糖尿病や高血圧を含めた生活習慣病や心臓疾患を診療してきましたので、父の患者さんにはそうした疾患の方が多いですね。年齢は70代、80代のご高齢の方が多いでしょうか。
私が院長に就いてからは、専門としてきた気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群などに罹患している30~50代の若い患者さんが増えています。
また現在、私は当院での診療の他に、伊勢崎佐波医師会病院や群馬大学医学部付属病院などで呼吸器内科の専門外来を受け持っています。それらの病院で私が診療した間質性肺炎の患者さんなどが、経過フォローのために当院に通院しているというケースも増えていますね。
今後、特に力を入れていきたい診療についてお聞かせください。
地域のかかりつけ医として、風邪や腹痛といったよくある症状を含めて、幅広い病気や年齢の方を診療していくのはもちろんのこと、私が専門とする呼吸器疾患については、特に力を入れていきたいですね。とりわけ、この地域には呼吸器内科専門の先生がまだ少ないので、少し離れた地域の方々も含めて、お役に立てるような存在になりたいと思っています。
呼吸器疾患の中でも悩んでいる患者さんが多い気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群はもちろん、間質性肺炎などのびまん性肺疾患、非結核性抗酸菌症などの感染性疾患など専門性の高い疾患についても、患者さんに身近な場所で大学病院に準ずるような質の高い診療を提供していきたいと考えています。
先生のご専門である気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群について、どのような診療が受けられますか?
気管支喘息については、診断に必要な「肺機能検査」、「呼気NO(一酸化窒素)濃度測定検査」を当院で実施しています。問診・検査を経て診断の結果、治療が必要であると判断した場合には、基本的には吸入ステロイド薬の治療となりますが、私が直接、薬の吸入指導を行いながら、患者さんと二人三脚で治療に取り組んでいます。
また、重症の気管支喘息に対しては、生物学的製剤を使用した治療法もあります。当院でも少しずつですが、重症喘息の治療を始めていますので、ゆくゆくは本格的に対応できるよう体制を整えたいと考えています。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)については、未診断の潜在している患者を発見して診断をつけ、治療に結びつけることが大切だと感じています。当院の患者さんでも、息切れの症状があるのに「年のせい」だとして見過ごされ、当院で診察したらCOPDだったという方が少なくありません。そのため、症状を確かめるためのアンケートや肺機能検査を受けていただくことで未診断の方の発見につなげ、治療に進むという取り組みを始めています。
COPDの治療は、吸入による薬物療法を主体に、重症の場合は在宅酸素療法も行っています。また、COPDの患者さんは、心臓に負担がかかるため、心臓疾患を合併しているケースがかなり多くみられます。私は、循環器も学んできましたので、心配な患者さんについては、心臓の機能や形態を調べる心エコー(心臓超音波検査)を当院で受けていただき、合併しやすい心臓疾患も含めて、総合的に対応していきたいと考えています。
睡眠時無呼吸症候群についは、「簡易ポリソムノグラフィー」というご自宅でできる簡易検査を患者さん自身に行っていただき、就寝中の呼吸や脈拍などの測定結果から診断します。もし簡易検査で診断がつかない場合は、近隣の連携病院をご紹介し、詳しい検査を受けていただいていますので、安心して受診していただきたいですね。治療は、睡眠中の無呼吸を防止するシーパップ(CPAP:持続陽圧呼吸療法)を受けていただき、定期的な通院で状態の確認をしています。
その他、動脈硬化の状態を確認する「頸動脈エコー」や、肝臓、胆嚢などの状態を確認する「腹部エコー」なども当院で受けられます。呼吸器や心臓だけでなく、高血圧などの生活習慣病も含めて、患者さん一人ひとりのからだ全体の健康維持に役立っていけるようにこれからも尽力していきたいと考えています。