心不全や不整脈といった循環器内科の専門診療に加え、風邪や腹痛の一般内科も幅広く診療。生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群にも力を入れ、心臓疾患の予防に努める
現在、どのような患者さんが多く来院されていますか?

年齢層はお子さんからご高齢の方まで幅広いのですが、特に多いのは40代以降の中高年世代です。高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病を中心に、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や睡眠時無呼吸症候群、心不全、不整脈などのご相談も増えています。
一方で、若い世代では新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症による受診が多く見られます。私は学校医も務めておりますので、発熱などの急性症状で来院されるお子さんもよくいらっしゃいますね。
介護医療院と訪問診療についても、どのような患者さんが多いのか教えてください。
介護医療院には、がんの終末期、脳血管障害、心不全、呼吸不全や認知症など、比較的介護度の高い方が多く入所されています。要介護3〜5の方が中心で、身体介護や食事介助などの生活支援に加え、経管栄養や痰の吸引など、医療的な処置を必要とするケースも多くあります。医療と介護の両面から支えることで、ご本人だけでなく、ご家族の負担を少しでも軽減できるよう努めています。
一方、訪問診療では、ご高齢の患者さんが中心です。通院が難しい方のご自宅を定期的に訪問し、在宅酸素療法や服薬管理などを行っています。訪問看護や訪問介護のスタッフとも密に連携し、体調の変化にも迅速に対応できる体制を整えています。
外来診療について、年齢や性別を問わず幅広く診療されていますが、特に力を入れている分野はありますか?

父の代から「地域のかかりつけ医として、どのようなご相談にも応じる」という姿勢で診療を続けており、その思いはいまも変わっていません。私の専門にかかわらず、おなかの不調や貧血、更年期障害による不定愁訴など、まずは医療の“入口”として幅広い症状に対応しています。必要に応じて大学病院などの専門医につなぐ役割も、地域医療の大切な一端だと考えています。
なかでも力を入れているのが、患者さんの数も多い生活習慣病の診療です。高血圧や脂質異常症、糖尿病といった疾患は、心臓病や脳血管疾患など重篤な病気につながる可能性があります。そのため、早期発見・早期治療に加え、治療を長く続けていただくことにも重きを置いています。
特に、動脈硬化の進行を抑えることは心筋梗塞や狭心症の予防にも直結します。薬物療法だけでなく、食事・運動など生活習慣の改善についても丁寧にアドバイスし、患者さん一人ひとりの健康を長く支えられる診療を心がけています。
患者数が増えている心不全と慢性腎臓病も、深く関係しているそうですね。
そうなんです。心不全は、高血圧や心筋梗塞といった虚血性心疾患の既往がある方だけでなく、慢性腎臓病によって心臓に負担がかかることでも発症します。腎臓の機能が低下すると、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、結果として心臓に過度な負担がかかってしまうんですね。
さらに、睡眠時無呼吸症候群を合併している場合は、血圧の変動や酸素不足によって心不全のリスクが一層高まります。そのため当院では、こうした複合的な背景を踏まえ、心臓と腎臓の両面から総合的に診る診療に努めています。
生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群の診療では、どのような点に注意されていますか?
やはり大切なのは、「うまくコントロールしていくこと」です。生活習慣病は、薬を飲めばすぐに治るものではありません。患者さん一人ひとりの生活スタイルに合わせて食事や運動などの生活指導を行いながら、投薬の効果を定期的にチェックし、数値や症状の変化をしっかり確認しています。
睡眠時無呼吸症候群については、検査から治療まで一貫して当院で行っています。CPAP(シーパップ)療法によって睡眠中の呼吸を安定させることができますが、これはあくまで対症療法です。根本的な改善には、原因の一つである肥満の是正など、生活習慣の見直しが欠かせません。また、手術で気道の構造的な問題を改善できる場合には、適切な専門医療機関をご紹介しています。