歯の悩みを解決してくれた女性医師に憧れ、歯科医の道へ。22年間勤務医として臨床の現場で技術を習得
はじめに、歯科医師を志したきっかけを教えていただけますか?
中学生のときに出会った女性の歯科医師に憧れたことです。幼い頃に通っていた歯科医院の先生は年輩の男性で、「歯科医師は男性がする仕事」というイメージをもっていたのですが、その女性歯科医師の治療を受けたことで認識が変わりました。子どもにとって歯科医院は敬遠しがちなところですが、その先生の治療は落ち着いた気持ちで受けることができましたし、歯の痛みや悩みを的確に解決してくださいました。
九州歯科大学に進学し、ご卒業後は勤務医として歯科医師の仕事をスタートされました。大学院に進学するなどしてより専門的に学ぶ選択肢もある中で、就職の道を選ばれたのはなぜですか?
私が憧れた女性歯科医師は“町の歯医者さん”でした。私もその先生のように、患者さんが気軽に行くことができ、患者さんの希望を大切にしながら口腔に関する悩みを解決できる、身近な“町の歯医者さん”になりたいと考えていました。
歯科治療には一般歯科治療だけでなく、歯列矯正、インプラント治療、審美歯科など、さまざまな分野がありますが、私がめざすような歯科医師になるためには特定の専門分野に特化するのではなく、歯科全般の症状に幅広く対応できる診療スキルを習得する必要がありました。そこで、臨床の現場で歯科医師としての技術や患者さんの接遇などを学ばせていただこうと考えたのです。
そして22年にわたり、鹿児島県内の7つの歯科医院で勤務医として研鑽を重ねてこられました。
はい。最初に勤務した「ハートデンタルクリニック」では、歯周病治療の専門家であり、県内でインプラント治療の先駆けを担われた先生のもとで、臨床の基礎となる技術と知識を徹底的に学びました。
患者さんやスタッフの人数が県内有数の規模である「しげなが歯科医院」では、一般治療に加えてインプラントなど自由診療の症例にも携わりました。また、患者さんに寄り添いあたたかくお迎えする接遇、徹底したホスピタリティについても身につけることができました。
最後に勤務した「たけはら歯科」は小規模な医院で、患者さんとの距離もより近いものになりました。そこでは、患者さんの幅広い悩みや症状に対してオールマイティにお応えし、ご満足いただくことを意識した診療に取り組むと同時に、堅実な歯科医院経営のあり方も学ばせていただきました。
歯科医院によって、規模や得意領域、患者さんの特性などがそれぞれ異なります。私は多くの歯科医院で経験を積むことによって、さまざまな症例や診療スタイルを学ぶことができましたし、尊敬する先生方やたくさんのスタッフと出会うことができました。この22年は、私にとって大きな財産です。
今回、開業を決断された経緯をお聞かせいただけますか?
勤務医として働いていた時間はとても充実しており、勉強したいことも山のようにありましたので、開業は特に考えていませんでした。しかし結婚・出産を通じて、子どもと過ごす時間も大事にしたいという思いも芽生えましたし、子どものために何かを残したいと思うようになりました。
そんな中、この地で歯科医療を担ってこられた川森歯科医院がお辞めになるにあたり引き継ぐ方を探しておられるということでお声がけをいただき、開業を決めました。保育園と幼稚園に囲まれた立地で、子育てしながら開業するイメージがわいたことも背中を押してくれました。川森歯科医院が築いてこられた歯科医療の基盤を引き継ぎ、私が培ってきた臨床経験や人脈を活かして、歯科医療の面から地域貢献できればと考えています。