リウマチは寛解を目指せる疾患に。少しでも不安や悩み、疑問を抱えている人は来院してほしい
貴院のリウマチ治療でこだわって取り組んでいることをお聞かせください。
まったく特別なことはしておらず、保険適用の一般的な薬物治療をしています。ただ、先ほどもお伝えしたとおり、本当にリウマチか、治療が必要なリウマチかの判断は慎重にしています。そして、治療が必要と判断した場合は、とにかく炎症を止めることを最優先に治療方針を決めていきます。
また当クリニックに来られる患者さんは、すでにほかの医療機関で治療を受けて効果が得られていないと感じていらっしゃる方も多く、そういった患者さんには、生物学的製剤を積極的に使用しています。
生物学的製剤は、炎症や骨の破壊を抑制する効果が非常に高く、リウマチ治療を劇的に変えたと言われている薬剤です。以前は、医療機関で点滴や注射による投与しかできませんでしたが、現在では自己注射も可能で、通院の負担が少なくてすみます。
当クリニックでは、2010年頃から本格的に導入しておりますが、やはり治療効果が高く、ほとんどの患者さんが寛解を維持されています。早い時期から仕事に復帰され、趣味やスポーツなどを楽しみ、以前よりも明るい生活をとり戻されている方が多くいらっしゃいますね。今は、人工関節の手術をされる方はいなくなりました。
さらに、3年前からコロナ禍でもあり、かつ遠方から来院される患者さんが多いため、自己注射を導入しています。生物学的製剤をご自身で注射する方法ですが、やり方を丁寧に指導していますので、ご高齢の方でも簡単にできると好評です。多くの方は経過が良いので、来院する回数は少なくて済みますね。
お忙しい中、診療時間以外はどのように過ごされていますか?
診療のある日は、仕事一辺倒ですね。仕事以外なにもできないです。でも、休診日の毎週木曜日と日曜日は、ゴルフをする日と決めています。ゴルフはちょうど開業をする頃に覚えたので、もう30年以上の習慣です。そういえば、これも開業の動機になっていますね。勤務医ではなかなかゴルフをする時間がとれませんから(笑)。
40歳くらいからはじめて、1年ほどでシングルになりました。そこから競技大会にも参加しています。仕事と同じくらい熱中していますよ。仕事のためにゴルフをしているのか、ゴルフのために仕事をしているのかわからないほどです(笑)。
それは冗談としても、とてもよい息抜きになっているのは確かです。この仕事は、患者さんや患者さんのご家族など「対ひと」です。患者さんの命がかかっていますし、経済的なご負担をかけてしまうこともある。それでも100%満足のいく結果を提供できるとは限らない。いくらやってみても難しいんです。そういったジレンマを抱える医師の仕事に対して、ゴルフは「対自分」、自分の技術を磨くことに集中ができますから。ゴルフはリウマチのことでいっぱいになった頭を切り替えられる大切な時間ですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
誰かの役に立ちたいという気持ちは、今も変わらず持ち続けています。そして、私の希望は、病気の人の荷物も背負える大きな背中になることです。ですから、リウマチかもしれないと不安を抱えている方はもちろん、どこに行ってもリウマチが治らないと困っている患者さんにこそ来てもらいたいと思っています。
「リウマチは一生つき合っていく病気」というのは以前の考え方です。今は特に、生物学的製剤など有効な薬剤もあるので、それらの薬剤を使いながらリウマチの炎症を止められれば、寛解を目指せる疾患になっています。リウマチは「治らない病」「一生付き合っていく病」ではなくなったということを知っていただきたいですね。
さきほども触れたように、当クリニックの患者さんの中には、リウマチの痛みで日常生活が困難になっていた方が、仕事に励んだり、趣味やスポーツなどを楽しんだりと明るい生活をとり戻している方が多くいらっしゃいます。「先生のお蔭で楽になった」と感謝の声を聞くのは医師冥利につきますし、やりがいも感じています。これからも、リウマチで悩む多くの患者さんが、健康な毎日をとり戻す手助けができるよう尽力してまいります。