整形外科医の父から「地域医療への貢献の志」を受け継ぎ、開業へ
先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。

私の父が整形外科医で、この地域で開業医をしていました。長年患者さんの診療にあたり、地域医療に貢献する父の姿を見て育ちましたので、私も自然と「整形外科医になりたい」と思うようになっていました。
帝京大学の医学部に進み、卒業後は麻酔科で2年間研修に従事して臨床経験を重ねました。その過程で「麻酔科標榜医」の資格も取得しています。
整形外科医を目指された先生が、麻酔科で研修を受けられたのはどういった理由からですか?
整形外科医としての診療の幅を広げるために、麻酔科での研修を選びました。麻酔科では、全身管理のスキルを身につけることができ、患者さんの全身状態を包括的に理解する力が養われます。特に手術中の循環・呼吸管理や疼痛コントロールの知識は、整形外科の分野でも重要です。麻酔科研修を通じて、より広い視野を持ち、安全かつ適切な診療を提供できる整形外科医になりたいと考えたのが大きな理由ですね。
麻酔科では、どのような診療に携わってこられたのでしょうか?
基本的には、手術を受ける患者さんの麻酔管理です。手術を安全に行うために麻酔は不可欠ですが、麻酔にもリスクがあります。そこで麻酔科医は、手術に際して麻酔薬を適切に使用するのはもちろん、手術中の患者さんの血圧や呼吸状態、心拍数、体温などを確認し、必要に応じて麻酔薬や輸血、点滴などを用いて、患者さんの全身の状態を良好に保ちます。この全身管理が、麻酔科医の重要な役割です。
ただそれだけではなく、手術前には患者さんへの麻酔の説明を行い、問診や診察を通じて体調を把握します。手術後は主治医と連携し、患者さんの回復状況を確認するなど、麻酔科医の仕事は多岐にわたります。さらに、ICU(集中治療室)での救急診療にも携わり、緊急時の対応を行うこともありました。
研修修了後は東北大学の整形外科に入局し、関連病院である東北各地域の基幹病院にて一般整形外科の診療に従事されました。
私が在籍していたのは、地域の一般的な市中病院で、さまざまな年代の患者さんが多様な症状や疾患を抱えて来院していました。そこで、腰痛や肩こり、膝の痛み、関節痛といった慢性疾患から、切り傷、骨折、捻挫、脱臼、打撲などの外傷に至るまで、整形外科疾患全般の診療を幅広く担当し、整形外科専門医としての技術と知識を磨いてきました。
外傷の患者さんの中には、複数箇所を同時に骨折するなど重傷を負い、救急車で運ばれてくるケースもあり、手術治療を含むさまざまな症例の臨床に携わりました。また、2011年の東日本大震災時には気仙沼市立病院に在籍し、被災者の医療支援に尽力したほか、介護老人保健施設の施設長としても活動しました。
膝や脊椎など特定の分野に特化した専門的な経験は積んでいませんが、地域医療の中で一般的な整形外科疾患に幅広く対応し、多くの患者さんを診療することができました。この経験が礎となり、日々の診療に活かされています。
そして2014年、「ほそごえ整形外科」を開業されました。どのような想いから開業を決意されたのでしょうか?
勤務医時代から、いつかはこの地域で開業し、地域医療に貢献したいと考えていました。整形外科医を目指すきっかけとなったのは、父の背中を見て育ったことです。父は長年にわたり地域の患者さんを診療し、その姿勢から「医療で地域に貢献する」という志を自然と受け継いだのだと思います。開業してから10年余りが経ちましたが、これからも地域のかかりつけ医として、皆さんの健康を支えるために、さらに貢献できるよう努めていきたいと考えています。
