消化器内視鏡専門医として長年培ってきた知識や技術を地元に還元したいと3代目の継承を決意
はじめに医師を志したきっかけをお聞かせください。
祖父が内科医としてこの地に開業、父は外科医でしたが2代目として当クリニックを継いでいました。かかりつけ医として働く父の姿を幼い頃から見てきた私にとって医療は身近な存在でしたので、3代目として医師を志したのもごく自然な流れだったように感じます。
敷かれたレールの上をそのまま歩くことに抵抗はなかった、と言えばうそになりますが、それ以上に地域医療を支える父の背中に憧れを抱き、医師になり父と同じ外科医の道へ進むことを決めました。
クリニックを継承されるまでのご経歴を教えていただけますか?
久留米大学医学部を卒業後、同外科学講座に入局。研修医として2年間、一般外科や消化器疾患の診療経験を重ねた後、大学院に進み、外科手術の患者さんに与えるダメージや体の反応などについての研究に携わりました。2007年には医学博士の学位を取得しています。
その後、北海道の病院勤務を経て地元に戻り、大学時代からお世話になっていた先輩に誘っていただいて「大腸肛門病センター高野会くるめ病院」に勤務いたしました。
このくるめ病院での勤務が私にとって大きな転機となります。というのも、外科医として大腸や肛門疾患の診療に携わる中で、当時はまだ途上だった消化器内視鏡診療に大きな可能性を感じるようになったんです。相談にのっていただいた病院長からも「内視鏡を極めなさい」と背中を押してもらい、外科医でありながらメスを置いて内視鏡を持つ決意をしました。
内視鏡診療のどのような点に可能性を感じられたのでしょうか?
一番の魅力は、直接、胃や腸の粘膜を観察できることです。小さな病変でも見つけやすく、胃がんや大腸がん、食道がんなどの早期発見・治療の手助けとなります。また、ある程度の大きさのポリープや腫瘍などの切除治療も可能で、開腹手術に比べて患者さんの体に対する負担が軽減される点も内視鏡診療の魅力の一つですね。
それから15年ほど、胃や大腸、食道など消化管の内視鏡検査・治療に研鑽を積む日々を送りました。中でも、大腸内視鏡検査はおよそ17000例におよび、大腸がんや大腸ポリープなどの早期発見・早期治療につなげてきています。
こうした経験から、「内視鏡検査がさらに身近なものになれば、多くの方が検査を受けられ病気を早期発見できるのではないか」という思いが強くなったのです。そして患者さんにとって医療の窓口となる地域医療に携わりたいと考え、初代院長の祖父、2代目院長の父の意志を継ぎ、3代目院長として新たに「おざさクリニック」と名称を変えて継承するに至りました。