母の助言をきっかけに医師の道へ。小児科医として地域医療に貢献した後、自然豊かな地で新境地を開く
はじめに、医師を志されたきっかけを教えてください。

教育熱心だった母から、「将来のために、確かな技術や資格を身につけた方がいい」とすすめられたことが最初のきっかけです。当初はその助言に従うかたちでしたが、学びを深めていくなかで、「人の役に立ちたい」「医療を通じて社会に貢献したい」という強い想いが芽生え、医師を目指すようになりました。
これまでのご経歴を教えてください。
慶應義塾大学医学部を卒業後、同学部小児科学教室に入局しました。その後は荻窪病院、国立東京第二病院小児科、済生会神奈川県病院などの関連病院に勤務し、臨床経験を積みました。小児科では、単に病気を診るだけでなく、家庭環境や親子関係まで含めた総合的なサポートが求められ、常に幅広い視点を持って診療にあたる必要がありました。これらの経験は、現在の診療にも大いに役立っています。
1985年には東京都内で小児科・内科を開業しました。子どもたちの成長を間近で見守ることに大きなやりがいを感じていましたが、一方で、年齢を重ねるにつれて診療日数を減らしたことで、小児の患者さんが徐々に減り、次第に内科中心の診療へと移行していきました。
その後、2020年に福島県に廣田診療所を開院されました。きっかけは何だったのでしょうか?
もともと福島県白河に畑を持っており、家庭菜園や自然に触れるために時々訪れていました。そのたびに、自然豊かなこの土地への愛着が深まっていき、次第にこちらで過ごす時間が増えていきました。両親が他界したことを機に、思い切って東京のクリニックを閉じ、2020年に西郷村で「廣田診療所」を開院しました。今は、自然に囲まれた西郷村で、患者さん一人ひとりとじっくり向き合える日々に大きな喜びを感じています。
