大腸・肛門疾患を専門に腹腔鏡手術を中心に研鑽を積む。身近な場所でおしりの悩みを解決したいとクリニックを開業
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。

祖父と叔父が医師、父が歯科医師という家に生まれましたので、子どもの頃から自然と将来は医学の道に進もうと思うようになっていました。それと、中学と高校では剣道をやっていたのですが、ケガをして整形外科の先生に診てもらうことが多く、そうした経験からも医師を目指すようになりました。
松尾先生は岩手医科大学医学部を卒業後、同大学の外科学講座に入局し消化器外科を専攻されました。どのような理由から消化器外科を選ばれたのでしょうか?
初期研修ではさまざまな診療科をまわりますが、外科以外にも血液内科や腎臓内科などに興味を持ち、どの道に進むかはかなり悩みました。ただ、もともと外科系を考えていたのと、手術治療が自分の性に合っていると感じて外科に入局しました。
入局後の4~5年間は、胃、大腸、肝臓などの消化器外科や、乳腺外科、甲状腺外科など全領域をまわって幅広く経験を積みました。そのなかで、大腸がんの手術に惹かれたことと、尊敬する先生がチームに在籍されていたことが決め手となって、大腸・肛門疾患を専門領域とすることに決めました。
開業までのご経歴と、主に診てこられた疾患や症例を教えてください。
岩手医科大学附属病院をはじめ、釜石病院や二戸病院、函館五稜郭病院、盛岡赤十字病院など、北東北・北海道の中核病院に勤務し、大腸がんや大腸・小腸に炎症や腫瘍ができる炎症性腸疾患を中心に、大腸・肛門疾患全般の診療に従事。治療では、お腹の中を映しながら手術を行う腹腔鏡手術をメインに、さまざまな症例の手術に携わり手技の研鑽に励みました。
また、炎症性腸疾患の一つであるクローン病は、腸だけでなく肛門部に病変が生じることも多く、痔や肛門の周りに膿みがたまる肛門周囲膿瘍などを発症することがあります。そうした疾患の診療にもあたり、大腸肛門病専門医として幅広く経験を積みました。
さらに、地域の中核病院では一人の医師が広範囲を診療することも珍しくありません。先輩方にもジェネラリストとして幅広い知識と経験を持つ方がたくさんいましたので、内科的な診療についても教えていただきながら経験を積みました。当時の経験が財産となって、現在の診療にも活かされていると感じています。
そして2024年に「松尾医院」を開院されました。開業を決心された想いをお聞かせいただけますか?
肛門疾患は痛みや排便障害があったり、病状によっては臭気や浸出液が出て日常生活にも大きな支障をきたします。しかし、恥ずかしさから受診をためらったり、誰にも相談できずに長年我慢して悪化してしまう方もいらっしゃいます。そうした患者さんを診ているうちに「もっと気軽に受診できる場所をつくり、一人でも多くの方がおしりの悩みから解放されるようにサポートしたい」という想いが強くなり、開業を決意しました。

