痔の専門診療と日帰り手術に注力。プライバシーに配慮し患者の希望や生活環境に合わせた治療を提案
どのような患者さんが多く来院されていますか?

肛門外科、外科、内科を掲げていますが、大半の患者さんが痔や肛門疾患で受診されています。年齢層は30~50代の働き世代を中心に、下は1~2歳のお子さんから上は90代まで幅広いですね。最近は、便秘や便失禁などの排便障害でお見えになる方も増えてきました。
当院では患者さんのプライバシーに配慮し、名前ではなく番号でお呼びしたり、女性専用の待合室やトイレを設けています。また、女性の診察時には必ず女性スタッフが同席するなど、安心して受診していただける環境づくりにも努めています。
貴院が得意とする痔の治療について詳しく教えてください。
痔は、肛門付近の血流が悪くなってうっ血し腫れ上がるいぼ痔(痔核)、肛門上皮が切れたり裂けてしまう切れ痔(裂肛)、細菌感染により肛門の周囲にトンネル(痔管)ができて皮膚と直腸がつながってしまう痔ろう(あな痔)の3種類があります。それぞれ大きさや形、発生場所、症状の程度によって治療内容が異なるため、デジタル肛門鏡、経肛門エコー、肛門内圧検査などで患部の状態を確認しながら治療を進めます。
症状が軽い場合は、軟膏や坐薬、内服薬などを使用し、食生活や排便習慣の改善、適度な運動と合わせて症状の改善を目指します。患者さんの多くは保存療法で改善しますが、症状が重かったり改善が見られなかったりする場合は手術治療を行います。
痔の手術も貴院で受けられるのでしょうか?

はい。当院では日帰り手術に対応しており、例えばいぼ痔の場合、血管を糸で縛って痔核を切り取る結紮切除術や、患部に薬を直接注射して痔核を固め小さくするALTA療法(内痔核硬化療法)など、患者さんの状態やご希望に合わせて実施しています。以前は入院が必要だった手術も日帰りで安全に行えるようになり、近年は切らずに治す治療法なども登場しています。専門医として培ってきた技術と経験で、お一人おひとりに合った最適な治療をご提案させていただきます。
なお、入院での手術を希望される方や、悪性の疾患やがんが見つかった場合には、盛岡市立病院など近隣の高度医療機関を紹介いたします。退院後のフォローアップも責任をもって行いますので、安心してご相談ください。
先生がこだわって導入されている医療機器はありますか?

一つはデジタル肛門鏡です。肛門の内部を診察する際、デジタル肛門鏡にある画像センサーで中の様子を画面に映し出すことで、患者さんも一緒に確認しながらご説明して、ご自身の状態や治療について理解を深めていただくようにしています。
もう一つは、岩手県内でも数少ない最新型の肛門エコー(超音波)検査機器を導入しました。高画質な画像で肛門の内部や括約筋の状態を確認することができ、小さな病変や痔瘻などの見逃しを防いで早期発見・早期治療に役立てています。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)も実施されていると伺いました。
はい。当院では鎮静剤を使用し、腸の中に少量の水を入れて内視鏡をすべらせるように進めていく浸水法や、腸管を伸ばさずに挿入していく軸保持短縮法などの手法を採用し、患者さんの痛みや苦しさをできるだけ軽減した検査に努めています。大腸がんの患者数は年々増えており、早期発見には内視鏡検査が欠かせません。院内にはトイレを完備した前室も用意していますので、気軽に検査を受けていただければと思います。