120年以上続く肛門科専門クリニックを継承した4代目院長が、痔の治療を受け継ぐ
はじめに、医師を志したきっかけを教えてください。

私は当院の四代目で、曽祖父の代から続く当院は、もう120年以上の歴史があります。そんな環境で育ったこともあり、幼い頃から父が診療する姿を、ごく自然に日常の一部として見てきました。白衣姿の背中がとても頼もしく見えて、「いつか自分もこうなりたい」と思うようになったんです。
それに、父からは「長いことやってるんだから、お前も分かってるだろ」とでも言うような、無言のプレッシャーもありまして(笑)、気がつけば、医師になるのはごく自然な選択になっていましたね。
貴院に入職されるまでのご経歴について教えてください。
金沢医科大学を卒業後、関西医科大学附属病院第2外科に入局し、同大学附属病院で2年間の初期研修を受けました。ちょうどその研修が終わる頃、父が病に倒れたことをきっかけに、2003年、当院を引き継ぐことを見据えて副院長に就任しました。
とはいえ、父のように地域医療の一端を担っていくには、まだまだ臨床経験が不足していると感じていましたので、当院での診療に携わりながらも、外科の研究員として関西医科大学附属病院に籍を置き、主に外科手術を中心に研鑽を積む日々を送りました。
大学病院では、具体的にどのような疾患の診療に携わってこられたのですか?
私は外科の中でも消化器外科を専門としており、痔疾や鼠径ヘルニアといった良性疾患を中心に、大腸がんなどの悪性腫瘍まで、さまざまな手術症例に携わってきました。
お子さんの病気からお年寄りの病気まで、非常に幅広く臨床経験を積むことができ、現在の地域医療に携わる上でも大きな糧となっています。
2008年に貴院の院長に就任されたそうですね。
はい。父が他界したことをきっかけに、2008年に四代目院長に就任しました。当院は、初代院長・畑 嘉門が「できるだけメスを使わずに痔を治す」ことを理念として掲げている医院です。その志は、時代が変わっても大切にすべきものだと考えており、私も変わらずその理念を引き継いでいます。
現在は医療技術が進歩し、痔の治療法も選択肢が増えていますが、その中でも「肛門機能を考慮してなるべく切らない」方法を常に意識しており、患者さんの負担をできるだけ軽くできるよう日々工夫しながら治療にあたっています。
