更新日: 2025-07-03

基本情報

名称:
むらき小児科
診療科目:
小児科, 小児神経科
住所:
〒 733-0821
広島県広島市西区庚午北2丁目22-4 高須サンフラワービル202

電話番号082-527-0215電話
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風邪や腹痛、アレルギーから、てんかん、発達障害まで、かかりつけ医として子どものあらゆる症状を診療

現在、どのような患者さんが多く来院されていますか?

村木 幸太郎先生の写真

当院は小児科と小児神経科の2本柱で診療していますので、近隣にお住まいのお子さんや、神経や神経発達症の患者さんが遠路来院されています。
小児の病気はウイルスが原因のことが多く、季節によって流行が変わります。花粉症もシーズンごとに花粉の種類が違うため、「今、何が流行っているのか」を常に注意して診療しています。普段は、咳、鼻汁、嘔吐、下痢などの日常的な不調や病気を診ていますが、ときに、急性虫垂炎、腸重積症、心不全といった緊急の病気の受診があります。元気がない、嘔気、腹痛などのよくある症状の陰に大きな病気が隠れていることがあるので、それを見逃さないように慎重に診察しています。腹部疾患の診断には超音波がとても役立っています。

先生のご専門である小児神経について教えてください。

小児神経科は、てんかん等のけいれんを起こす病気や、運動・知能・行動や言葉に関する異常を専門に診療する科です。
「けいれん」で受診された患者さんの場合は、始めに「いつ頃、どんなふうにけいれんを起こしたのか」を詳しく伺います。患者さんの年齢、性別、病歴だけでも、かなり診断がつきます。例えば、6歳女児が「走ったり、楽器を吹いたりして過呼吸になると急に動作が止まる」という症状で受診すると、「小児欠神てんかん」を疑います。脳波をとりながら過呼吸させると、発作と同時にけいれん波が出て診断がつきます。「もやもや病」も似た症状があるのですが、この場合は断層写真を撮って診断します。このように「てんかん」の診断には脳波検査が決め手になります。
 
「小児てんかん」の原因や症状はさまざまです。生下時の脳損傷や遺伝子異常、代謝異常など原因がわかっているものや、いろいろ検査しても原因がわからないものもあります。脳のどの部分に異常があるのかによって、けいれんの様子や病気の重症度が違います。
最近は新薬がたくさん出てきて、内服治療の選択肢が増えました。また、手術や迷走神経の電気刺激でけいれんを止めることもできるようになりました。

自閉スペクトラム症や注意欠陥多動症の患者さんには、どのような診療をされていますか?

村木 幸太郎先生の写真

神経発達症の患者さんは、個人のプライバシー保護と、落ち着いた環境でお話が聴けるように、一般外来の休診日(第2・4木曜日)の午前中に予約制で診療しています。ひとりずつ時間をかけて丁寧にお話を伺い、WISC-V、KABC-II、新版K式などの発達検査や、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、限局性学習症の診断に必要な検査も行っています。
 
神経発達症で注意の転動が大きい(周りが気になって落ち着かない)ときは、まず環境調整をします。その子の発達特性に応じた、気持ちが落ち着く環境づくりが大切です。教室の壁の掲示物を少なくしてもらう、席を最前列の先生の目の前にしてもらう、自宅の部屋は極力整理するなど、落ち着いた生活環境にします。さらに、先生を始め周囲の人たちに本人の発達特性を理解していただき、協力していただきます。お子さんが安心して日常生活を送れるように、皆でサポートしていきます。
 
このような環境調整を十分に行っても興奮や衝動が抑えられない場合、例えば家族に暴力を振るったり、急に道路に飛び出したりして危険なときは、薬物治療を検討します。しかしながら、発達特性の原因を治す薬はまだありません。発達特性は大人になっても残ります。
神経発達症が原因で精神的ストレスが長く続くと、うつ状態(2次障害)になることがあり、うつ病を患っておられる成人の患者さんの中には、子どもの頃から神経発達症だった方もいらっしゃいます。

神経発達症の診断は必要ですか?

神経発達症の診断は必ずしも必要ではありません。同じ診断名であっても特性は一人ひとり違うので、個別の対応が必要です。大切なのは、その子と親御さんの困りごとに対応することであり、診断をつけることではないと思います。一方で、診断がつくことによって「何でこの子は他の兄弟より神経過敏なんだろう」などと、これまで悩んでいた我が子の発達特性が一気に理解できて救われる親御さんもいらっしゃいます。
 
お子さんの育ちについて心配な親御さんは、保育園・幼稚園の先生や巡回の臨床心理士にお話して、自治体の保健センターの発達相談を紹介していただいたり、かかりつけの小児科医に相談するのもよいと思います。もちろん、当院にもぜひご相談ください。
発達特性への対応が早いほど良い経過になり、自閉スペクトラム症であれば、1歳頃から成長に合わせた療育サポートを受けられるのが利点です。園児であれば療育センターに通う、園で加配の先生を付けてもらう、学童であれば特別支援学級、通級に通うことで個人にあった学習環境を選べます。放課後デイケアもたくさんありますので、本人に合ったところを探してみてください。