0歳から100歳まで、耳・鼻・のどの多様な症状に対応。難聴やめまいの診療にも注力
貴院には、どのような患者さんが来院されていますか?

当院は耳鼻咽喉科・アレルギー科として、耳・鼻・のどの症状を中心に、花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患にも幅広く対応しています。
ご来院される方の年齢層は本当にさまざまで、0歳の赤ちゃんから100歳を超えるご高齢の方まで、地域全体をカバーしています。症状も、耳の痛みや耳鳴り、鼻水・鼻づまり、のどの痛みや声のかすれなどのほか、味覚や嗅覚の異常、めまいといったものまで多岐にわたります。
特に力を入れている診療について教えてください。
難聴など、「聞こえ」に関するお悩みを抱えて来院される患者さんは非常に多く、耳の診療には特に力を入れています。耳鳴りをはじめ、耳の異常を訴える方に対しては、まず聴力検査や耳鳴りの検査を行い、状態をしっかりと把握するところから始めます。当院では、精度の高い検査を行うために個室の聴力検査室を設け、より正確なデータに基づいた診療を心がけています。
また、難聴など耳の疾患の中には、めまいを伴うケースも少なくありません。そうした場合には、重心動揺計を用いて立位時の体の揺れや重心の動きを測定し、平衡感覚の状態を確認します。
難聴の治療は、一般的にどのような流れで進められるのでしょうか?

難聴にはいくつかのタイプがあります。例えば、音の振動がうまく伝わらなくなる「伝音難聴」、音の刺激を感じ取る神経や感覚細胞に障害が起きる「感音難聴」、その両方の要素を併せもつ「混合難聴」、そしてストレスなど心理的な要因が関係する「機能性難聴」などです。
症状の程度もさまざまで、「少し聞こえづらい」といった軽いものから、全く音が聞こえなくなる重いものまで、原因や状態によって治療法は異なります。そのため、まずは丁寧に検査を行い、原因と聴力の状態をしっかりと見極めたうえで、最も適した治療方法をご提案するよう心がけています。
たとえば、伝音難聴では炎症や損傷が原因となることが多く、薬による治療や、場合によっては手術によって改善を目指します。感音難聴の場合には、補聴器の使用や人工内耳による聴覚の補助を検討することもあります。また、薬物療法を行う際は、使用する薬剤や投与量の判断も慎重に行い、患者さん一人ひとりに合った治療を選択します。
難聴は年齢を問わず起こり得る疾患で、早期の発見と治療がとても大切です。特に近年増えている突発性難聴は、治療の開始が遅れると聴力が回復しにくくなることもあります。「少し聞こえが悪いかな」と感じた時点で、できるだけ早く受診していただきたいと思います。
めまいの治療についても教えてください。
めまいにもさまざまな原因がありますが、耳の異常が関係しているケースは少なくありません。たとえば、耳の奥にある「耳石器」から耳石がはがれて三半規管などに入り込むことで起こる良性発作性頭位めまい症や、内耳にリンパ液が過剰にたまり神経が圧迫されてしまうメニエール病は、耳が原因となる代表的なめまいの疾患です。
治療は、原因や症状の程度によって異なります。メニエール病の場合は、薬で自律神経のバランスを整えながら発作を抑え、利尿剤などを用いて内耳のリンパ液の状態を改善していきます。
一方、良性発作性頭位めまい症では、「めまい体操」と呼ばれる耳石置換法によって、三半規管に入り込んだ耳石を元の位置に戻すことで症状の改善を図ります。自然に治まることもありますが、必要に応じて薬を使い、症状を和らげることもあります。
いずれのめまいも、治療だけでなく生活習慣の見直しも大切です。規則正しい生活や十分な睡眠、ストレスの軽減などが回復につながります。当院では、こうした生活面のアドバイスも含めて、患者さん一人ひとりに合わせたサポートを行うよう心がけています。