更新日: 2025-12-08

基本情報

名称:
品川ホヌクリニック
診療科目:
内科, 美容皮膚科
住所:
〒 140-0015
東京都品川区西大井5丁目8-2 ASビル2階

電話番号03-6303-7222電話
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JR西大井駅から徒歩約7分。昔ながらの住宅街と新しいマンションが共存する西大井の地に、2025年7月、「品川ホヌクリニック」が開院した。訪問診療(在宅医療)を中心に、予約制で内科全般および美容皮膚科の外来診療も行う、地域に根ざしたクリニックだ。院長を努めるのは内科と美容医療の両分野で経験を重ねてきた笠茂明音先生。そして訪問診療は、現在も慶應義塾大学病院で救急救命に携わる救急科専門医の笠茂修平先生が主に担う。

同院の訪問診療は、救急医療の視点を取り入れた安全性の高い診療体制を備えていることが大きな特徴。救急科専門医が体制を監修し、急変時の判断基準や病態評価のノウハウを共有することで、日々の訪問診療でも迅速かつ的確な対応が可能となっている。また、福祉車両による退院時のお迎えにも対応し、在宅療養へスムーズに移行したい患者や家族を手厚くサポートしている。
今回は、地域の方々にやさしく寄り添う明音院長と修平先生に、開院に込めた思いや診療へのこだわりについて、じっくりとお話を伺った。

※日本救急医学会救急科専門医

内科全般と美容医療の研鑽を積んだ内科医と、修羅場をかいくぐってきた救急科専門医が、ホヌ(ウミガメ)のように穏やかで温かな医療を提供する理想のクリニックを実現

はじめに、お二人が医師を志されたきっかけをお聞かせください。

笠茂 明音先生の写真

【明音院長】漠然と人の役に立つ仕事に就きたいと小さい頃から医師への憧れを感じていた。その想いに本格的に火がついたのは高校2年生のとき。大好きな祖父が重い病気を患い、家族と一緒に主治医から病状や治療方針について説明を受けたのですが、難しい言葉が多く、祖父のために何が最善なのか理解できず、すごく悔しい思いをしたんです。その経験から「自分が医療の担い手になろう」と決意し、必死に勉強して、医学部合格を祖父にプレゼントすることができました。
 
【修平医師】私は中学生の頃、紛争地や自然災害の現場で、命の危機にある人々に医療を届ける「国境なき医師団」の活動を知り、強い関心を抱きました。「自分もこうした場で誰かの命を救う医師になりたい」と思ったのが、医師を志したきっかけです。その想いはずっと変わらず、迷うことなく医学部への進学を決めました。

貴院を開業されるまでのご経歴を教えてください。

【明音院長】日本大学医学部を卒業後、出身大学とは別の環境に身を置いて知見を広げたいと考えて、2年間の初期研修を慶應義塾大学病院と東京大学医学部附属病院で受けました。出産を経験し、その後は新型コロナ禍も重なったため、育児と両立しながら内科医・健診医として地域のクリニックに勤務。加えて、美容皮膚科やオンライン診療にも携わり、内科、美容皮膚科全般について実践的な経験を積んできました。
 
【修平医師】私も日本大学医学部の出身で、私は研修修了後、慶應義塾大学病院の救急救命科に入局し、現在も同病院で勤務を続けています。当院では訪問診療を主に担当しており、救急医として培ってきた経験を活かしながら、患者さんのご自宅での医療をサポートしています。

修平先生が救急救命を専攻したのには、何か理由があったのでしょうか?

笠茂 修平先生の写真

【修平医師】研修医時代、心筋梗塞で救急外来を受診された患者さんがいらっしゃいました。ご自身で歩いて来られたものの、状態は深刻で──そのときの救急医と循環器の先生方の対応と連携が本当に鮮やかで、診断から治療までの一連の流れがとても印象的でした。治療を終えた患者さんが元気に退院される姿を見て、「自分も命に係わる緊急な現場で的確に医療をしたい」と思いました。

また、当時の指導医から「君は救命救急が向いていると思うよ」とアドバイスをいただいて、その言葉を素直に受け止めました。幅広く診療に関わりたいという気持ちも強くあり、最終的に救急科専門医の道に進むことを決めました。

救急の患者さんで、特に印象に残っている症例はありますか?

【修平医師】救命救急科では、各専門科の医師と連携して治療にあたることが多い一方で、救命救急科だからこそ担える治療も少なくありません。

なかでも忘れられないのは、縦隔腫瘍の手術後に大量出血を起こし、極めて厳しい状態に陥った患者さんのケースです。当初は、どの医師も救命は困難と判断せざるを得ない状況でした。それでも、救命救急科チームによる迅速な外科的止血処置と集中治療を重ねた結果、患者さんは驚くほど回復し、最終的にはご自身の足で退院されました。
私は主に集中治療など内科的な側面で関わりましたが、あの症例は、救命医に求められる広範な知識と技術、そして「絶対に諦めない姿勢」の大切さを改めて実感させてくれた出来事でした。

貴院の開業に至った理由を教えてください。

【明音院長】2024年に、江戸川区にある「瑞江篠崎えがおのクリニック」で理事長兼院長を務め、地域の活性化にもつながる温かな地域医療を経験しました。その経験を通じて、自分たちの理想とする医療をかたちにしたいという想いが芽生えました。
医師を目指したきっかけになった亡き祖父が生前に過ごしていたのが西大井で、祖父の想いを胸に2025年7月1日、修平先生とともに「患者さんの暮らしに寄り添う医療」を目指してスタートを切りました。
 
【修平医師】私自身は、救急科専門医の資格を取得したことをひとつの区切りとして、次は訪問診療に本格的に取り組みたいと考えていました。救急医療は病院という限られた空間の中で、重症患者の救命を最優先に行う医療ですが、訪問診療は患者さんの生活の場に直接入り、人生そのものに寄り添う医療だと感じています。その人の生活背景や人生観まで理解してこそ、ご本人やご家族にとって本当に納得のいく医療が提供できるのだと思いますし、そこに救急とはまた違ったやりがいがあると感じています。これまでの経験を活かしながら、新たなかたちで地域に貢献していけたらと考えています。

貴院の名称「ホヌ」には、どのような想いが込められているのでしょうか?

品川ホヌクリニックの院内の写真

【明音院長】「ホヌ」はハワイ語で「ウミガメ」を意味し、現地では幸運を運ぶ神聖な存在として大切にされています。広く穏やかな海を悠々と泳ぐホヌのように、私たちもこの地域の皆さんのそばで、静かに、あたたかく寄り添える存在でありたい──そんな想いを込めて、この名前を選びました。
不安なときも安心して頼っていただけるような、やさしく穏やかな医療を、これからも丁寧に届けていきたいと考えています。