患者に信頼され、何でも相談できる「ホームドクター」になるために開業
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
私は、子どもの頃から体が弱く、医療のお世話になることが多かったんです。小学2年生のときには、急性熱性疾患の「川崎病」に罹ったこともありました。川崎病は、たいていは4歳以下の乳幼児期に発症するので、私の場合は稀なケースでした。しかも、症状は重篤なのに、なかなか診断がつかなかったんです。結局、乳幼児期にかかっていた小児科の先生に診ていただき、ようやく川崎病とわかったのですが、そのとき、子ども心に「何の病気なのかちゃんと調べて治してくれる先生はかっこいいな」と感じたんです。
私の家は、祖父母も両親も歯科医師なので、自然と自分も同じ医療の道を行くのだろうなとは思っていましたが、このときの経験が強く印象に残っていて、「自分も誰かの役に立ちたい」、「患者さんに信頼される医師になりたい」という思いから、医師になることを決めました。
開業までのご経歴を教えてください。
聖マリアンナ医科大学大学院を卒業し、さまざまな病気を幅広く診療できる内科医をめざして、同大学病院の第3内科に入局しました。研修中は一般内科で研鑽を積み、その後、大学院で血液腫瘍内科学を専攻していたこともあって「血液腫瘍内科」に配属され、主に白血病や悪性リンパ腫、悪性骨髄腫といった血液のがんの患者さんを数多く診療し、骨髄移植にも専門的に取り組んできました。
大学病院には7年ほど在籍し、血液腫瘍内科の医長を務めるなど貴重な経験を積む一方で、当初の目標でもあった「内科医として、もっと幅広い疾患を診療したい」という思いが強くなってきたんです。そこで、地域中核病院の柿生記念病院に移り、風邪やインフルエンザ、腹痛、アレルギー、関節痛といった日常的によくみられる症状や病気の診療に取り組み、一般内科医としての研鑽も積んできました。その後は、一般病院の内科や耳鼻咽喉科クリニック、小児科や皮膚科、整形外科を併設する内科クリニックに勤務、専門外の診療も学んだ後、2015年に開業するに至ります。
開業に至る先生の想いや、この地に開院された理由をお聞かせください。
一つの疾患を深く診療していく大学病院のような高度医療機関と違い、開業医は一人ひとりの患者さんに寄り添って、一人でさまざまな病気を診療します。勤務医という働き方は自分に合っていたのですが、一般病院やクリニックで地域の患者さんを診療する中で、「患者さんの身近な場所で、お子さんからお年寄りまで、病気のことだけでなく健康に関するちょっとした相談にも気軽に乗れるようなクリニックをつくりたい」、そう想うようになり、開業を決意しました。
当院は、有料老人ホームの1階にテナントとして入居しています。この老人ホームは、実は、私のかつての上司の奥様が運営されており、そのご縁で声をかけていただきました。開業するなら勤務していた聖マリアンナ医科大学病院に近い場所でと決めていたのと、クリニックが少なく地域の方のニーズに応えられるのでは、と考えたこともこの地に開業した理由の一つですね。