「乳がんの早期発見に尽力したい」と乳腺専門クリニックを開業
はじめに、この地に開業された理由について教えてください。
大学卒業後は、大学病院や総合病院の放射線科に勤務して、全身の各部位のCT、MRI検査などさまざまな画像診断の経験を積んできました。画像診断の専門家として研鑽を積む一方で、2015年からは乳腺外科を兼任。外来・検査・術後のフォローアップや緩和ケアに至るまで、乳がん診療に携わりました。
総合病院に来られる乳がん患者さんは、検診で指摘されて来院される方が多いのですが、中には残念なことにがんのステージが進んでいらっしゃる方も少なくありません。また、患者さんから「どこに行って相談したらよいかわからなかった」、「敷居が高くてなかなか受診できなかった」という声をお聞きすることもあり、「乳房の悩みを気軽に相談できて、すぐに検査を受けられる場所をつくりたい」、そして「一人でも多くの女性の乳がんを早期に発見したい」と、地域に根差した乳腺専門のクリニックとして開業することを決めました。
関東中央病院で勤務医として働いていたこともあり、周辺の環境はある程度把握していました。その中でもこの武蔵新城には乳腺専門のクリニックがなく、乳房の悩みを相談できずに困っている人が多いのではないかと考え、患者さんのニーズに答えたい、同病院とも連携がとりやすい、とこの地を選びました。
内装もすてきですね。どのようなコンセプトでデザインされたのですか?
ありがとうございます。当院は、「乳がんではないか」と不安を抱えて来院される方も多いので、できるだけ心を穏やかにリラックスできるように、白とブラウンを中心に木などの自然な素材を取り入れました。また待合室も、温かみを感じられる空間にしたいと、大きな窓から日の光がいっぱい入る位置に配置して、患者さんにくつろいで過ごしていただけるように心がけています。
クリニックの特徴や来院される患者さんについてお聞かせください。
乳がん検診や検査をメインに、乳がん術後の経過観察、乳腺炎や授乳期トラブルなど、乳腺に関するさまざまな症状に対応しています。
来院される患者さんの年齢は10歳未満からご高齢の方まで幅広くいらっしゃいますが、多いのは30~50代の方ですね。乳がんドックや市の乳がん検診を受けに来られる方はもちろん、「以前から胸に違和感があるけれど、なかなか検診に行けなくて……」と不安な気持ちを抱いて来院される方も多いです。あとは、出産後の乳腺炎にお悩みの方や乳房が腫れて痛みがある方などがいらっしゃいます。
10代、20代で乳がんということはほとんどないのですが、良性のしこりができたり、10歳未満の場合では、通常の時期よりも早くに思春期が始まる思春期早発症で急に乳房が大きくなり心配したご家族が連れて来られることもあります。
診療では、乳がんの可能性について正確な検査や診断をすることはもちろんですが、受診のきっかけとなった症状の原因についてもきちんとご説明するよう心がけています。
検査の結果良性だった場合にも、ただ「良性でした」と伝えるだけではなく、今後の方針についてまでお話しさせていただき、患者さんの不安な気持ちを払拭できるように心がけています。