鼻の手術の体験をきっかけに耳鼻科医に。“患者さんにつらい思いをさせない治療”の提供をめざす
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
私自身、小さい頃から鼻炎を患い、耳鼻咽喉科に通っていたんです。薬物療法では鼻炎の症状はよくならず、中学3年生のときには、左右の鼻の穴を隔てている鼻中隔の湾曲を矯正する「鼻中隔湾曲矯正術」と、鼻腔の粘膜の腫れを切除する「下鼻甲介粘膜切除術」という手術を受けました。
手術によって長年悩まされていた鼻炎による鼻水、鼻詰まりが改善され、結果的には受けてよかったのですが、実は、手術後、しばらくすると大量の鼻血が出て、それが治まるまでかなり苦しい思いをしたんです。その経験があって、「自分と同じように困っている人たちを、つらくて苦しい思いをさせずに治していきたい」と強く想うようになり、医師の道に進むことを決めました。
耳鼻咽喉科医を選択したのは、ご自身の経験からですか?
そうです。医学部卒業後、ローテートでいろんな科目を回って研修しましたが、どの科目を体験しても、やはり、「自分がなりたいのは耳鼻咽喉科医だな」と、その気持ちが揺らぐことはありませんでしたね。
開業までのご経歴をお聞かせください。
1992年に国立浜松医大を卒業し、2006年まで浜松医大の関連病院の耳鼻咽喉科で、常勤医として一般的な耳鼻科疾患を診療していました。その後、父親が大病を患ったのをきっかけに、なるべく東京都内の実家に近い場所で働きたいと考え、相談した先輩医師に誘っていただいた横浜市立大学耳鼻咽喉科に入局しました。2021年9月に医療法人社団元志会の分院として当院を開業するまで、横浜市大に関連する湘南病院と南大和病院で耳鼻咽喉科部長を務め、検査や手術、外来診療とすべて担当していました。
勤務医時代に専門的に診てきたのは、私自身も長年悩まされてきた副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎といった鼻の疾患ですね。特に、内視鏡による副鼻腔炎の手術や、悪性腫瘍の早期発見を含めて画像診断にも力を入れて取り組んでいました。
また、患者さんが非常に多いアレルギー性鼻炎や花粉症については、さまざまな治療法が登場していますので、例えば、「ヒスタグロビン注射」というアレルギー原因物質への過剰な免疫反応を抑えて症状を改善する治療法や、アレルゲンがスギ花粉やハウスダストの場合に、アレルギーの原因物質を少しずつ体内に取り入れてアレルギー反応を軽減させる「舌下免疫療法」なども行ってきました。
この場所で開業を決められた理由を教えてください。
私の趣味の一つがマラソンです。この磯子区は、毎年開催※1されていた「神奈川マラソン」の会場で、私自身、何度も参加していて馴染み深い場所でした。また、マンションなどの住宅も多く、子育て世代の方々も集まっていて活気があることも理由の一つですね。
私は、「できるだけ長く医療の現場に携わっていきたい」との想いがあり、そのために地域医療に貢献できる開業医になることは必要だと考えていましたので、念願が叶い、恵まれた場所で開業できてとても嬉しく思っています。
※1 2021年、2022年は中止