患者の立場で考えた、苦痛が少なく、気軽に受けられる胃・大腸内視鏡検査を実施
現在、どのような患者さんが多く来院されていますか？
当院は、胃・大腸の内視鏡クリニックを特色として打ち出していますので、やはり、「お腹の痛みが続いている」「便に血が混じっているので、大腸がんが心配」など、お腹（胃や大腸）や食道の症状があったり、会社などの健診で指摘されたりして、内視鏡検査を受けに来院される患者さんが多いですね。
年齢層としては、駅から近いので通いやすく、24時間WEB予約システムを導入していることもあり、40代、50代の働き世代の患者さんが多い印象があります。
そのほか、肛門外科も併設していますので、お尻の悩みで来院される方も多くいらっしゃいます。特に、「便に血が混じる」や「排便時の出血」は、患者さんには大腸がんと痔疾の区別がつきにくい状態です。このような症状があるのに受診を躊躇していると、重大な病気の発見が遅れてしまいます。当院では、「恥ずかしさ」が受診の妨げにならないよう十分にプライバシーに配慮し、手術で切開せずに、痔核に直接注射をして根治をめざす「ジオン注射（内痔核硬化療法）」を導入して、患者さんに負担の少ない治療法を提供しています。
大腸内視鏡検査は、つらそうなイメージがあります。貴院では、どのような検査が受けられますか？
大腸内視鏡検査、いわゆる大腸カメラについて当院では、患者さんの立場で熟考を重ね、苦痛や不安、下剤を服用する前処置の負担を軽減し、仕事や生活への影響も最小限に留められるように工夫を凝らしています。
例えば、検査中は鎮静剤を使うので、うとうと眠ったような状態で検査を受けていただける上に、内視鏡スコープも極細のものを使用しているので、患者さんへの苦痛や負担はかなり少ないと思います。
また、大腸カメラでは、微小な病変を見つけるために空気を送り込むのですが、検査後に圧迫感や膨満感といった不快感が残らないように、体内で吸収されやすい炭酸ガスを使用しているほか、大腸のひだが曲がりくねっていたり癒着して強くねじれていたりしても、痛みなどの苦痛が少ない「軸保持短縮法」という大腸挿入法を用いて実施しています。
検査中に大腸ポリープが見つかり切除が必要であると判断した場合には、そのまま切除治療を行います。大腸がんは、大腸ポリープから発生することが多く、ポリープ切除は大腸がんの予防に繋がります。1日で検査とポリープ切除治療が行えるのも当院の強みですね。
また、大腸カメラ受診のハードルの一つになっている検査前の下剤の服用においては、数種類の味の中から飲みやすいものを選べるようにし、トイレ付きの個室を用意して、看護師の見守りを受けながら院内で服用できるように環境を整えています。2リットルあまりの下剤をどうしても飲むことができない患者さんについては、鼻チューブ法で直接胃に下剤を流し込む方法を選ぶこともできます。
なお、胃カメラについても鎮静剤を使用しており、経鼻内視鏡と経口内視鏡の両方に対応しています。大腸カメラも同時に受けることができるので、患者さんのご負担の軽減につながっているのではないかと思います。
内視鏡検査のために整えられた環境や工夫について教えてください。
院内環境は、できる限り受診のハードルを下げるために、安心してくつろげるような空間づくりを意識しました。
大腸内視鏡検査では、受診に恥ずかしさを感じる方も多いので、トイレ付きの個室につながる男女別の更衣室を設置し、待合室も一般の内科の患者さんとは別にして他の方と顔を合わせることがないよう導線を分けて、患者さんのプライバシー確保に努めています。
また、検査が終わったら、お茶とお菓子を召し上がっていただけるカフェコーナーも設けています。検査当日は朝から下剤を飲んで胃の中が空っぽの状態ですので、患者さんに一息ついてもらいたいと始めたサービスです。患者さんにゆっくりくつろいでいただけていれば嬉しいですね。
そのほかにも、朝8時半から検査を開始し、午前中10時半くらいにはクリニックを出られる「モーニング大腸カメラ」というコースを設けたり、土曜日の検査受診にも対応したり、お仕事や家事などでお忙しい患者さんが気軽に検査を受けられるような工夫にも取り組んでいます。
