患者さんのQOL向上を目指して、日常的な疾患から後遺症まで全身を総合的に診療
京都リハビリテーション病院時代のどのような経験が、現在のクリニック開設につながったのでしょうか。
病院でのリハビリテーションは、脳梗塞が原因で麻痺が生じたり、骨折が原因で歩きにくくなったりした患者さんに対し、ADL(日常生活動作)の改善やQOL(生活の質)の向上を目指して行うのですが、痛み、痺れなどの後遺症や認知症などの併存疾患があって、なかなか思うようにリハビリが進まないことが多かったんです。
そこで私は「だるくてやる気が起きない」、「痛みがひどくて動きたくない」など患者さんお一人お一人の訴えを伺い、看護師やリハビリスタッフと相談をしながら、お困りのさまざまな症状の緩和に努めることにしました。西洋薬だけではなかなかうまくいかず、漢方薬も積極的に取り入れたところ諸症状の改善が見られ、その結果、患者さんは積極的にリハビリに取り組むようになり、目覚ましく回復されたケースも見られるようになりました。不調を取り除くことのメリットの大きさを知ったのはこの時です。
実際、術後の後遺症だけでなく、検査をしても何も異常がないのに「なんだか疲れる」「なんだか腰が痛む」などさまざま症状で、長い間苦しみ続けているような方はとても多いのです。
私は、そういった患者さんの声をしっかり受け止めて、患者さんが困っている全身の疾患や症状を改善していきたいと「まつうら総合内科クリニック」の開業を決意するに至りました。
現在、クリニックにはどのような患者さんが来られていますか。
20代くらいの比較的若い世代の方からご高齢の方まで、幅広い世代の患者さんが来院されています。内科で一般的に診察されるような風邪や胃腸炎や膀胱炎などの急性疾患、高血圧、高脂血症、糖尿病、便秘症、アレルギー疾患などの慢性疾患で受診される方が中心ですが、リハビリ病院での勤務経験が影響しているのか、脳卒中後の患者さんの来院が少しずつ増えてきました。
また、「5年前から体がだるくて」とか「10年前からしびれに悩んでいて」といった、長期的な不調に苦しまれている方の来院も徐々に増えてきております。その他、新型コロナウイルス感染症を含む、さまざまな疾患の後遺症や精神面の相談にも注力していて、先ほどお話ししたように、西洋薬だけでなく漢方薬も用いながら、患者さんがお困りの症状の改善に努めています。
老年内科では、複数の疾患を抱えていて「全部診てください」というご高齢の方が多いですね。運動機能や認知機能の衰えがある方には投薬に加え、介護サービスの導入や連携している医療機関へのリハビリ依頼なども行っています。
ありがたいことに、「ずっと先生に診てもらいたい」と引き続き通ってくださっている京都の勤務医時代の患者さん方も多く、京都から電車で来院しやすい場所に開業できてよかったと思っています。