地域医療に心血を注いできた父の背中を追って医師に。整形外科医として慢性疾患の治療から専門的な外科手術まで経験を積み、腕を磨く
はじめに、伊藤先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。
医師を志したのは、父の影響が大きかったと思います。父は、肺や消化器を扱う消化器外科医で、私が生まれた年にこの場所で開院しました。開業するにあたって父は、地域の皆さんの幅広い医療ニーズに応えるために、専門の消化器外科だけでなく、整形外科、皮膚科などさまざまな分野で研鑽を積み、地域医療に貢献してきました。
私は、幼少期から父の医院に顔を出し、患者さんと接することもあって、医療が身近なものになっていました。あるときには、近所の飲食店のお客さんが意識を失って倒れ、父が救急車よりも早く駆けつけ、その場で処置をして大事に至らずに済んだということもありました。そんな父の姿を間近で見ているうちに医師という職業へのあこがれが強くなり、父と同じ医師になることを決意しました。
整形外科を専門とされたのは、どのような理由からですか?
整形外科は、命に関わる病気が少なく、多くの患者さんが治療によって症状が改善し、笑顔になっていく姿を見ることができます。関節などの痛みや機能障害で困っている患者さんに寄り添い、回復を目指して前向きな治療をしていけるところに魅力を感じました。
これまでのご経歴を教えてください。
東京医科大学を卒業後、整形外科に入局し、東京医科大学病院や関連の基幹病院、地域の中核病院などに勤務しました。大学病院では、主に骨折を中心とした外傷の診療を専門に担当し、交通事故による骨盤骨折や多発骨折など重度外傷の手術や治療に従事しました。さらに、関節や脊椎の病気、スポーツによるケガ、骨腫瘍などに対する専門的な治療や、腰痛や膝の関節痛、坐骨神経痛といった慢性疾患も数多く診療し、幅広く研鑽を重ねてきました。
2016年からは、埼玉県戸田市の中核病院で、500床を有する戸田中央総合病院に勤務し、整形外科部長として外傷治療のほか、人工関節置換術や靭帯再建術、骨腫瘍の手術など、高度な外科手術を中心に、さまざまな症例に携わりました。
一般整形外科から高度医療まで、第一線で活躍されてきた伊藤先生が、クリニックに入職された理由を教えてください。
2年間の初期研修を終え、入局後の10年を一つの節目と考えていまして、医局に残るのか、父の後を継ぐのかを決めようと思っていました。正直、どちらの道を進むか迷いもあったのですが、やはり、生まれ育ったこの場所で、かかりつけ医として地域の皆さんに貢献する道を歩もうと決心し、2022年4月に当院に入職しました。父も院長として現役で診療していますので、父とともにクリニックの運営に携わっています。