大学病院で頭頸部がんの手術など経験を積んだ後、「身近で高いレベルの耳鼻咽喉科医療を提供したい」と開業を決意
はじめに、宮野先生が医師を志したきっかけと、耳鼻咽喉科を専門とされた理由をお聞かせください。
私自身、子どもの頃から医療のお世話になることが多く、耳鼻咽喉科や歯科によく通っていました。その経験から「自分も病気を治す職業に就きたい」と思うようになり、医師の道に進むことを決めました。
埼玉医科大学に通っていた頃、母がくも膜下出血で倒れたことをきっかけに「脳神経外科の分野を学びたい」と、NTT東日本関東病院の脳神経外科で研修を受けたのですが、その研修の中で頭頸部や気管切開といった耳鼻咽喉科領域の手術を目にする機会があり、そちらに魅了されてしまいました。手術という武器が活かせる点と、耳から鼻、喉、頭頸部までと守備範囲が広く、開業してもスペシャリティを発揮できそうな点も耳鼻咽喉科を選ぶ決め手になりましたね。
開業されるまでのご経歴を教えてください。
開業するまでの18年間、東京大学医学部附属病院や、医局関連病院である地域中核総合病院などに勤務し、主に口腔がん、咽頭がん、喉頭がんといった頭頸部に発生する悪性腫瘍の手術・入院治療に長く携わりました。さらに、副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・中耳炎・扁桃炎・メニエール病など、耳鼻咽喉科領域の代表的な疾患に対する診療にも幅広く携わり、研鑽を積みました。
その後入職したJR東京総合病院では耳鼻咽喉科医長、東京山手メディカルセンターでは耳鼻咽喉科部長も務め、指導医として後進の育成にも取り組んでまいりました。両病院に勤めていた頃はちょうど新型コロナウイルス感染症が流行していた時期で、総合病院の耳鼻咽喉科を受診する患者さん自体も減っており、入院の受け入れが難しく、緊急性の低い手術は延期するという状況が続きました。そういった日常を過ごしているうちに、入院ができなくても、工夫次第では外来診療のみで対応できる患者さんは思っていた以上に多いということに気付いたんです。「クリニックで総合病院レベルの耳鼻咽喉科診療を受けられる体制を整えれば、もっと気軽に受診していただけるのではないか」と思い、開業を決意しました。2023年に当院を開業し、現在に至ります。