看護師の母の影響を受けて医師に。高度救命救急医から訪問診療医に転身し、在宅支援診療所を開業
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。

高校1年生の頃にはすでに「将来は医師になろう」と決めていましたが、実はこれといった決定的なきっかけはなかったんです(笑)。ただ、母が看護師をしていたこともあり、幼い頃から医療が身近な環境で育ちました。患者さんのために懸命に働く母の姿を見ているうちに、自然と医師という仕事に関心を持ち、気づけば目指すようになっていましたね。
開業までのご経歴を教えてください。
信州大学医学部を卒業後、信州上田医療センターで2年間の初期研修を修了し、その後、信州大学医学部附属病院の高度救命救急センターに入局しました。
同センターは、重症・重篤な患者さんを受け入れる三次救急を担う施設で、心肺停止や意識障害、広範囲の熱傷(やけど)、急性中毒など、命に関わる症例に日々向き合っていました。一刻を争う場面が多く、緊張の連続でしたが、そのぶん、学ぶことも多く、命を救えたときの達成感は何ものにも代えがたいものでした。その後、地元に戻ることを決意し、岐阜県恵那市で訪問診療医としての道を歩み始めます。
高度救命救急医を経て、訪問診療医に転身されたのですね。
はい。高度救命救急では、チームで連携しながら患者さんの命を救うことが求められます。一方、訪問診療も看護師や薬剤師、介護士など多職種と連携し、24時間365日体制で患者さんの在宅療養を支える点で共通する部分が多いと感じました。
また、訪問診療では慢性疾患の急変や発熱といった突発的な症状にも対応するため、高度救命救急で培った経験が大いに活かせます。そうした背景もあり、訪問診療を自分の専門領域とすることを決意。数年間、勤務医として訪問診療に携わった後、2022年9月に自院を開業しました。
この地に開業された理由を教えてください。
きっかけは、母の友人であるケアマネジャーさんからの相談でした。ご自身が担当されている地域で訪問診療をお願いできないか、というお話をいただいたのです。ちょうどその頃、私自身も岐阜市内への転居を予定していたため、タイミングもよく、この場所での開業を決めました。
現在は当院での診療に加え、恵那市や名古屋市、一宮市のいくつかの在宅診療クリニックでも非常勤として勤務し、高齢者施設を中心に訪問診療を行っています。
