これまでの経験を活かし、「脳卒中の予防医療」を柱にした医院を開業
脳神経内科医として第一線で活躍されていた先生が、どのような想いから開業を決心されたのでしょうか。

基幹病院の脳神経内科に来られる患者さんは、その多くが脳卒中を発症し、救急車で運ばれてくる方々でした。治療では、症状を悪化させないための治療、リハビリ、再発予防などを行いますが、そういった患者さんを診るうちに「脳卒中の発症自体を防ぐための予防医療に貢献したい」と思うようになりました。
日常生活動作(ADL)の低下や認知症の発症により、要支援や要介護となる患者さんの中には、原因疾患として脳卒中が関係しているケースも少なくありません。脳卒中を予防することで、一人でも多くの方に「明るく元気で、有意義な生活を送っていただきたい」という想いが強くなり、2024年5月に当院を開業しました。
貴院の特長を教えてください。
プライマリ・ケアを実践していますので、風邪や胃腸の不調といった日常的な症状から、頭痛やめまい、認知症などの脳神経領域まで幅広く対応しています。なかでも、先ほどお話ししたように「脳卒中予防」につながる診療に力を入れています。
脳卒中は、高血圧症や脂質異常症といった生活習慣病、慢性心不全や心房細動などの心疾患、無呼吸症候群など、さまざまな病気が引き金となって起こります。これらの原因となり得る疾患について、しっかりと検査・治療を行うことで脳卒中のリスクを下げ、脳卒中を発症した患者さんの再発予防をサポートしていくのが当院の特長であり強みです。
具体的には、どのような内容になるのでしょうか?
あらゆる疾患を診るのを基本としながら、例えば、片頭痛なら注射薬による予防治療を行ったり、心臓疾患の場合は手術が必要な状況で無ければ、慢性心不全や心房細動に代表される不整脈は当院で治療したりというように、脳卒中に直接的にも間接的にも関与しうる疾患については一歩踏み込んだ診療を提供しています。
院内には、基本的な内科的検査ができる設備に加え、頸動脈エコー、動脈硬化を調べるABI/PWV、24時間ホルター心電図などを揃えており、脳卒中の予防に欠かせない検査をすぐに受けてもらえる体制を整えています。また、脳卒中の検査で有効なMRIやCT検査ついては、柏崎市内の3つの医療機関(新潟病院・柏崎厚生病院・柏崎総合医療センター)と共同利用契約を結んでおり、当院の窓口から検査の予約をすることができます。最終的な診断や結果説明については、他の検査結果とも合わせて、当院で私が責任を持っておこないますのでご安心ください。
めまいの診療にも注力されていると伺いました。

はい。最近は、めまいに悩まされ、原因も分からないという患者さんが多くいらっしゃいます。めまいはさまざまな要因で起こるため、的確に診断することが難しい症状ですが、なかには眼球運動に関わる脳神経の異常など、脳疾患が隠れているケースも考えられます。
当院では、めまいの原因精査として電気眼振図検査を行っています。これは、専用のVRゴーグルを装着して目の動きを調べることで、めまいの原因が大脳、小脳、末梢神経、耳のどこにあるのかを検査します。さらに、聴力検査、頭部MRIやCT検査を組み合わせて行うことで、総合的に診断し、確実な治療につなげるように努めています。めまいの検査で思わぬ病気が見つかる場合もありますので、気になる方はご相談ください。