気軽に相談できる雰囲気づくりと信頼関係で、かかりつけ医として地域の健康を支えたい
先生が日々の診療で心がけていることを教えてください。

患者さん一人ひとりには、それぞれに異なるつらさや悩みがあり、当院では、その思いに寄り添いながら、少しでも心身の負担を軽くするお手伝いをしたいと考えています。そのために大切なのは、患者さんがご自身の症状やお気持ちを、気兼ねなく話せる雰囲気づくりです。
もし診察の中で病気が見つかった場合には、治療についてのご相談をさせていただくことになりますが、治療法の選択においては、患者さんの生活環境や価値観、治療に対する考え方も非常に重要です。適切な医療をご提案するには、そうした背景やご希望を自然と話していただける信頼関係が欠かせません。
そのため当院では、「ここなら安心して話せる」「わからないことは何でも聞いてみよう」と感じていただけるような、あたたかく開かれた診療環境を大切にしています。受付スタッフや看護師、そして医師である私自身が、丁寧に、誠実に患者さんと向き合い、安心してご相談いただける関係性を築くことを日々心がけています。
お休みの時間はどのようにお過ごしになっていますか?
もともと体を動かすことが好きで、勤務医時代からフットサルやマリンスポーツ、スノーボードなど、休日にはさまざまなスポーツを楽しんできました。今でも時間ができれば、そうしたアクティビティでリフレッシュすることが多いですね。
また、家族や友人と出かけたり、のんびりと過ごす時間も大切にしています。そうした何気ないひとときが、心身をリセットする良いきっかけになっています。
今後、貴院で取り組んでいきたいとお考えになっていることがありましたら、お聞かせいただけますか?
今では、医療機関だけでなく公共施設や駅、商業施設など、町のあちこちにAED(自動体外式除細動器)が設置されており、医療従事者でなくても使用できる体制が整ってきました。ただ、実際に使ったことがないと、いざという場面で落ち着いて操作するのは難しいものです。
また、日本は地震や台風といった自然災害の多い国です。そうした非常時には、救急・災害医療に頼らざるを得ないケースも想定されますが、「どのような医療支援が受けられるのか」「どうすれば医療につながれるのか」といった情報を知らないままでは、必要な支援にたどり着けないかもしれません。
そうした背景を踏まえ、今後は救急医として培ってきた知識と経験を地域の皆さんに還元し、いざというときに役立つ“医療とのつながり方”を啓発する活動にも力を入れていきたいと考えています。たとえば、AEDの正しい使い方や、災害時の対応について学べる講習会を開催するなど、日常の中で「もしも」に備える意識を広げていければと思っています。
すでに一部の小学校ではAED講習などが行われていますが、今後はそうした地域に根ざした取り組みにも積極的に関わりながら、医療の垣根を越えて、人と人とが支え合える地域づくりに貢献していけたらと願っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

現代は、日々忙しく過ごされる方が多く、体調がすぐれなくても受診のタイミングを逃してしまったり、不調や不安をひとりで抱え込んでしまったりすることも少なくありません。ですが、そうした状態を我慢し続けることが、病気につながるケースもあります。
反対に、ちょっとした体調の変化や気になる症状を誰かに相談することで、心が軽くなったり、安心できたりすることもあるのではないでしょうか。
だからこそ当院では、「雑談をしに行く」くらいの気軽なお気持ちでお越しいただければと思っています。「こんな症状で受診していいのかな」「もしかしたら別の科の症状かもしれないけれど……」というようなことでも、どうぞ遠慮なくご相談ください。
地域のかかりつけ医として、先々代・先代が地域の皆さんと築いてきた信頼関係を大切にしながら、これからも“体の相談窓口”として、多くの方が健康な毎日を送れるようよりよい医療の提供に努めてまいります。