幅広い診療で地域医療に貢献するとともに、専門の呼吸器疾患の治療に尽力
どのような患者さんが多く来院しますか?
「かかりつけ医」として風邪や生活習慣病など広く一般内科の診療をしていますが、喘息・慢性呼吸器疾患・アレルギー疾患・花粉症・睡眠時無呼吸症候群など、私が専門とする呼吸器疾患の患者さんが多く来院されます。
最近では、患者さんご自身で疾患についてよく調べられていて、「専門医に診てもらいたい」「この治療法があるからここに」と、たくさんあるクリニックの中から選んで来院してくださっているような印象を受けます。
先生のご専門である睡眠時無呼吸症候群について教えてください
2000年に、オーストラリアのパースにあるSir Charles Gairdner Hospitalに留学しました。ここは睡眠時無呼吸症候群の診断、治療を得意分野にしていた病院で、私もDr.Hillmanの下で客員研究員として研究に参加して、この疾患を基礎から学んできました。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。症状として、日中の強い眠気や倦怠感、集中力の低下、就寝中の大きないびきなどがあげられます。
寝ている間の無呼吸になかなか気付くことができないために、治療していない方が多いのが現状です。しかし、放置していると高血圧や糖尿病、さらに心疾患や脳卒中といった命にかかわる病気になるリスクが高くなってしまいます。だからこそ、ご自身やご家族が病気を疑い、早期に適切な治療を受けることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群にはどのような検査や治療法がありますか?
初診時に問診と酸素濃度を測り、睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合には、「SpO2モニター」を使用して睡眠中の酸素濃度を測定します。これは、検査装置を装着し、一晩眠るだけのスクリーニング検査です。
スクリーニング検査の結果、睡眠時無呼吸である可能性の高い場合、正確な診断を行うために「簡易アプノモニター」を使用しての検査を行います。これも、検査機器を装着して一晩眠っていただく検査です。
その結果を元に、症状に合わせた治療を進めていきます。
治療法はいくつかあり、一人ひとりに適した治療法を選択したり、併用して行います。
代表的な治療法として、内科的に効果が立証されている「CPAP療法」があります。これは、夜寝ている間に鼻マスクを装着して、鼻から気道に空気を送り込む療法です。CPAPを装着している間のデータは自動的に当院に送信されてくるため、受診時には速やかに現在の状況をお知らせすることができます。
「マウスピース療法」は、症状が軽度の場合に適応になります。患者さんの骨格に適したマウスピースを作成し、下あごを少し前に出すように固定する事で、気道を広げて、無呼吸やいびきを改善させる療法です。
また、当院では「ナステント療法」を受けることができます。ナステントは柔らかいチューブの医療機器で、これを鼻から喉まで挿入することで気道を確保して、睡眠時の鼻呼吸をサポートします。ナステント使用前には医療機関でフィッティングを行う必要があります。当院では、患者さんの状態を見極めながら、適切な長さや硬さのナステントを選定します。
その他、生活習慣の改善、禁煙、ダイエットなど患者さんの症状や状況によって、アドバイスさせていただきます。
スギやダニアレルギーに対する舌下免疫療法にも力を入れていらっしゃるそうですね。
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から患者さんの舌に投与することで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を緩和していく治療法です。現在、スギ花粉症とダニアレルギーがある方に適応しています。
治療を受けた方のうち9割は症状改善、もしくは症状軽快などの効果が見られます。
治療を開始して数か月で効果が現れる方もいますが、症状を出なくしたり和らげたりするためには、3年~5年継続して治療を行うことが大切です。