更新日: 2023-04-20

基本情報

名称:
土岐医院
診療科目:
小児科, 小児外科, 消化器内科, 外科, 内科
住所:
〒 370-3334
群馬県高崎市本郷町65-1

電話番号027-343-6003電話
する

高崎市本郷町の「土岐医院」は、江戸時代から続く町医者の家系として地元ではよく知られた存在である。大正時代に建てられ老朽化していた医院を街道沿いに移し、新しく建て替えたのは2014年のこと。バリアフリーで開放的な建物の入り口では、日本古来の鳥「トキ」をあしらった愛らしいロゴマークが患者を出迎えている。

その土岐医院の7代目を継承し、現院長を務める土岐文彰先生の専門は、開業医としてはやや珍しい「小児外科」である。大学病院や小児医療センターで数多くの手術や治療に携わった経験を持ち「子どものおなかやおしりの病気」のスペシャリストだ。医院は「かかりつけ医」として、内視鏡専門医の父、内科医の母の診療も加えたアットホームな体制で、地域の人々の健康を支えている。「専門性も役立てながら、子どもからお年寄りまで、何でも気軽に相談できるファミリークリニックを目指したい」と語る土岐院長に、小児外科の診察の様子や、地域医療にかける思いなどを詳しく伺った。

小児外科医として豊富な経験を積んだ後、江戸時代から代々続く土岐医院を継承

はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。

土岐先生の写真

当院は江戸時代から代々この地で医業を営んでいて、祖父が5代目、父が6代目、私は7代目になります。

私が生まれた当時は、父も母も東京女子医科大学病院で勤務医として従事していましたが、母は私の出生地をここにするためだけに、父方の実家に帰ってお産をしたんだそうです。つまり、生まれた瞬間から「7代目」としての期待を背負っていたことになります(笑)。
医療が身近な環境で育ち、「祖父や両親のように医師になり、ゆくゆくは土岐医院を継ぐんだ」という気持ちは自然に芽生えていましたね。

小児外科を専門にされた理由を教えてください。

もともと、小学生の頃に読んだ手塚治虫原作の漫画「ブラックジャック」の影響で、外科医に強い憧れを抱いていました。ところが、進学した群馬大学医学部の実習で、子どもの成長や発達に関わることができる小児科にも魅力を感じてしまったのです。外科と小児科、どちらを選ぶかでとても悩んだのを覚えています。先輩医師にも相談する中、小児外科ならその両方の夢を叶えることができるのではないかと、その道を目指すことにしました。

小児外科医になるには、はじめに一般外科を専攻して外科医として十分な修練を重ねなければなりません。私の場合はまず、群馬大学医学部卒業後に同大学病院第一外科に入局し、胃がんや大腸がんなど消化器がんの外科手術やICUでの集中治療など幅広い経験を積みながら、技術と知識を身につけました。

その後は専門を小児に切り替え、群馬大学付属病院小児外科や群馬県立小児医療センターに勤務しました。腸などの内臓が腹腔外に飛び出す「鼠径(そけい)ヘルニア」、生まれつき腸がつながっていない「先天性腸閉鎖」、生まれつき肛門がつながっていない「鎖肛」などを中心に数多くの外科手術に携わり、さらに研鑽を積んできました。

一般外科は、手術によってたくさんの人命を救うことができる、やりがいのある現場です。しかし、がんが進行してしまった患者さんなどの場合は、たとえ外科手術に成功してもがんが再発してしまうこともあり、悔しい思いをすることがあります。一方で、先天性疾患を数多く扱う小児外科では、鼠径ヘルニアや先天性腸閉鎖など、たとえ重篤で危険な症状に見えたとしても、手術さえうまくいけば元気になれるものがあります。自分が手術を手がけた子どもが回復し、普通の子どもと変わらず元気に走り回る姿を見られるのは、小児外科医に許された特権ですね。

勤務医時代の一番の思い出として、私が先天性疾患の手術を担当した子どもが成長し、本人の結婚式に招待してくれた話があります。つながれた小さな命が、やがて幸せな家庭を築くまでになったことに感動しましたし、小児外科は未来につながる、やりがいのある分野だと改めて実感できました。

小児外科医として経験を積んだ後、7代目として土岐医院を継承されたのですね。

はい。父は60歳で長年勤めていた大学病院を辞め、こちらに戻り6代目として当院を継いでいました。当時は今の場所から300mくらい奥まったところにあり、大正時代に建てられた建物でかなり老朽化も進んでいましたね。

「いずれ父の後を継ぐ時には、建て替えが必要かな」とは考えていたのですが、私が勤務医として10年あまり経った頃でしょうか。この街道沿いの土地が売りに出されていて、妻から「今ここで決断しないと一生できないと思う」と言われたんです。父はまだ現役でしたし、私ももう少し手術経験を積みたいと思っていましたので、土地を買うなんて考えてもいなかったんですが……(笑)。これもいいタイミングなのかもしれない、と背中を押され、7代目を継ぐことを決意。2014年にこの場所で新たに開院いたしました。

院内には陽光がふりそそいで、居心地がよい空間ですね。

ありがとうございます。木のぬくもりが感じられる床や、天井が高く開放的な待合室、日当たりがよく明るい診察室など、患者さんに居心地のよさを感じてもらえる空間づくりを心がけました。

また、誰もが安心して利用できるように、駐車場から玄関、院内にいたるまで段差をなくし、トイレも広々とスペースをとるなど、バリアフリー設計にもこだわっています。

土岐医院の外観写真
街道沿いで広い駐車場も完備。院内外ともにバリアフリー設計にもこだわった
土岐医院の待合室写真
吹き抜けと大きな窓に囲まれた明るく開放的な待合室