子どもの風邪から高齢者の訪問診療まで、幅広く対応しながら、泌尿器科医と産婦人科医がタッグを組んだ「女性外来」にも注力
どのような患者さんが来院されていますか?
【佐々木院長】当院は、地域のかかりつけ医を目指しており、地域の皆さんの医療ニーズにできるだけお応えできるよう、幅広い疾患に対応しています。患者さんの年齢層も幅広く、3歳くらいのお子さんから、訪問診療も行っていますので、90歳を超える方までいらっしゃいます。
主訴もさまざまですが、私が担当する患者さんですと、尿もれや頻尿といった泌尿器関連の症状や、気持ちがふさぐなどの精神的なお悩みのご相談、漢方薬の処方を希望される方のほか、日常的によくみられる風邪や腹痛などの症状で来院される方も多いですね。
【山本医師】一般の婦人科クリニックと同様に、思春期からご高齢の方まで幅広く来院されています。思春期の生理痛、クラミジアなどの性感染症、すでに広く知られている月経前症候群、中高年の排尿の異常や臓器脱で来られる方が増えている印象です。それと、啓蒙の効果でしょうか。子宮頸がんワクチン接種を希望されておみえになる方が急増しています。
貴院の特長の一つでもある「女性外来」について、どのような診療が受けられるのか教えてください。
【佐々木院長】「女性外来」では、内科や外科などの枠にあてはめず、女性の心と体を診療します。「何科にいけばよいかわからない」「どこに相談すればよいかわからない」といった患者さんが、気軽に来院できて相談してもらうことを目的に導入しています。
女性泌尿器科では、どのような疾患をみられるのでしょうか?
【佐々木院長】たとえば、女性に多い腹圧性失禁(尿もれ)や過活動膀胱、子宮や膀胱などが脱出する骨盤臓器脱があげられます。これには、妊娠・出産による骨盤底筋の機能低下が深く関わっていることが多くあります。
当院は、泌尿器科医と産婦人科医が常駐し、互いに協力し合って診療していますので、このような泌尿器科と婦人科の両方にまたがる、いわゆる「境界領域」にある女性特有の病気をトータルで診られるのは、当院の特長だと思います。特に、骨盤底筋の機能低下に関わる疾患には強みを発揮できると思っています。
骨盤底筋を鍛える「エムセラ」(医療機器)を導入されているのも、その一環でしょうか?
【佐々木院長】はい。出産や老化によって衰えた骨盤底筋の筋力強化は、それが原因で起きている排尿障害や骨盤臓器脱の根本治療につながります。患者さんのお悩みの解決の一助になればと思い導入しました。エムセラでの治療は自費診療になりますが、できるだけ金銭的な負担を軽くして、多くの患者さんに取り組んでいただけるよう努めています。
体験された方をみていると、エムセラによる治療が合う・合わないは、もちろんあるのですが、なかには、短期間で良い変化を実感される方もいて、試してみる価値はある治療法ではないかと感じています。
山本先生が担当されている婦人科では、どのような診療が受けられますか?
【山本医師】特別な診療はしておりませんが、50年以上、産科から婦人科まで広く診療してきましたので、分娩と手術からは手を引きましたが、全年齢の女性の相談に対応するようにしています。特に、佐々木先生が担当される泌尿器科と心療内科は診断と治療で婦人科と接点があることも多いので、患者さんの日常生活の質が少しでもよくなるように、お互いに連携して診療にあたっています。
【佐々木院長】そうなんです。たとえば、更年期障害のご相談で女性外来だけで解決せず、ホルモン療法が必要だと判断した場合には山本先生にお願いしています。あるいは、婦人科疾患で山本先生が診察した患者さんにメンタルの不調がみられる場合、心療内科も受け持っている私が診察するというかたちで、それぞれの患者さんに寄り添い、必要な医療を適切に提供できるよう連携しながら取り組んでいます。