父の背中を追うように整形外科の道へ。大学病院で培った技術を地域医療に活かし、生まれ育った地域に恩返ししたいと院長職を継承
はじめに、先生が医師を志したきっかけをお聞かせください。
私の父は整形外科医、母は内科医で、私が中学生のときに父がこの梶原クリニックを開院しました。ですので、家での会話などを通じて小さい頃から医師の仕事を身近に感じており、患者さんに接する父の姿に尊敬の念を抱いていました。そうした環境で育つうちに、私も自然と整形外科医の道を志すようになりました。
そして東邦大学の医学部へ進み、卒業後は父の母校でもある東京慈恵会医科大学附属病院で初期研修を受け、東京慈恵会医科大学の整形外科学講座に入局しました。研修ではさまざまな診療科をローテーションして経験しましたが、整形外科医を目指す気持ちに迷いはありませんでした。
大学病院ではどのような疾患を診てこられましたか?
最初の3年間は関連病院で整形外科の一般的な診療を担当し、臨床経験を積みました。その後ご縁があり、大学病院の脊椎・脊髄センターに移って、整形外科領域のなかでも脊椎・脊髄疾患を中心に携わることになりました。
脊椎とは首から腰にかけて連なる背骨のことで、脊椎の骨の中を走る神経が脊髄です。この脊椎・脊髄に関わる疾患としては、頸椎症、脊柱管狭窄症、腰椎や頚椎の椎間板ヘルニア、腰椎変性すべり症、脊椎圧迫骨折、側湾症、後弯症など、さまざまなものがあります。骨粗鬆症が進行して脊椎の圧迫骨折を起こしてしまうようなケースもあります。こうした疾患に対し、まずは内服薬やブロック注射などを用いて痛みやしびれといった症状の改善を目指し、それでも改善しない場合に手術治療を検討するというのが一般的な治療の流れです。
脊椎・脊髄センターでは脊椎・脊髄疾患全般の診療にあたり、手術治療についても神経の圧迫を取り除く手術や背骨を固定する手術などの基本的なものから、側湾症や重度の骨粗鬆症といった難しい手術まで対応できるよう研鑽を重ねました。大学病院の本院とあって先端医療も積極的に取り入れられており、そうした知識や技術も学ぶことができました。
脊椎・脊髄センターに約5年在籍したあとは、東京慈恵会医科大学附属第三病院の整形外科で脊椎診療を受け持ちました。脊椎の診療班は私1人で、診療から手術まで1人で行うのは大変でしたが、重症の患者さんも含め多様な症例の治療を担当することができ、大きなやりがいがありました。
そして2023年4月、梶原クリニックの院長に就任されました。
院長であった父が高齢となり、フルタイムで仕事を続けることが難しくなってきたのです。加えて私自身も、これまで培ってきた整形外科医としての技術や知見、大学病院で習得した先端医療を、地域の医療に活かすことができないかという想いが募るようになっていました。
父はこのクリニックで20年以上にわたり、地域に根ざした医療を手がけてまいりました。そのバトンを受け継ぎ、生まれ育ったこの地域に恩返しするような気持ちで地域医療に貢献したい——。そう考え、このタイミングでの継承を決意しました。ちなみに、父は今も当院で診療にあたっています。地域医療を担ってきた“先輩”として、学ぶところが大きいですね。
また、母は近隣地域で内科クリニックを開いていますが、当院でも内科診療を行っています。曜日は限られますが、風邪の症状や生活習慣病なども当院で診療しておりますので、何か気になる症状がありましたらぜひお越しいただければと思います。