更新日: 2023-07-20

基本情報

名称:
えんどうクリニック
診療科目:
内科, 外科, 胃腸科, 肛門科
住所:
〒 965-0005
福島県会津若松市一箕町亀賀藤原417-3

電話番号0242-33-0700電話
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石の上にも三年。ていねいなスタッフ教育で、アットホームかつ信頼度の高い診療体制を構築

開業した当初は患者さんの数も少なく、ご苦労されたと伺いました。

そうですね。開業するときに「担当していた患者さんに挨拶をして、新しい医院に来てもらう」「勤務先から患者さんの紹介を受ける」といったことを私はしませんでした。その結果、当然ながら開業当初は患者さんの姿もまばらで、周囲からはどうなることかと心配されるほどでしたね(笑)。ただ、患者さんが少ないからといって、ただ暇を持て余していたわけではありません。時間ができるたびに、自分自身の勉強やスタッフ教育にエネルギーを注いできました。

どんなに小さな医療現場でも「医師一人の力で患者さんを救えるものではない」というのが私の持論です。医療現場における医師の役割は、たとえるならば船頭のようなもの。患者さんの命を預かるボートを正しく導く役割です。当院であれば、医師の私が先頭に立ち、看護師・事務・厨房(栄養士)、薬剤師など、それぞれのメンバーが同じ方向を見て、同じだけしっかりとした力でオールを漕がなければ、ボートは正しく進まないのです。スタッフにはこうした話をしながら、地道に「患者さんのため」「地域のため」の医療を続けてきた甲斐があって、徐々に私の理想とするチーム医療が完成していきました。開業から10年を迎えるころには、おかげさまで多くの方から信頼していただけるようになりました。「石の上にも三年」ということわざがありますが「石の上にも十年」くらいの覚悟で取り組んだことがよかったのでしょうね。

現在はどのような患者さんを多く診ているのですか?

遠藤先生の写真

当クリニックは内科的なプライマリーケアを大切にしながらも、私の得意とする外科、胃腸科、肛門科領域での検査や手術を数多く手がけています。外科医の中には開業時にメスを置く人もいますが、やはり私は自分の磨いてきた手技にはこだわりたかったので、得意分野をはっきりとさせたクリニックを目指しました。

その結果、現在もっとも多く来院されているのは胃腸・肛門疾患の患者さんです。胃や大腸の内視鏡検査をはじめ、日帰り手術、または数日から1週間程度の入院となる小手術を数多く行っています。入院設備10床という規模であるからこそできる、行き届いたケアや家族的なサポートが当クリニックの強みです。もちろん、進行がんなどより専門的な検査や治療が必要だと判断した場合には、すぐに適切な医療機関を紹介させていただきます。

先ほどお話した通り、当クリニックは患者さんの健康と命を預かるボートとして、小さくても強い絆を持ったチーム医療を実践できているのが私の自慢です。先程も申し上げましたが、院長がコックスを務め、看護師・事務・厨房(栄養士)、薬剤師の各々に同じ太さ、同じ長さのオールを与え、皆が息を合わせて漕がないとボートは真っすぐに進まないと、この30年間言い続けています。そして皆で力を合わせ「地域に根ざし、患者さんにとってわかりやすく、納得のいく医療を提供する」という同じ目標を持って、毎日の診療にあたっています。

では、貴院が得意とする小手術について、もう少し詳しくお聞かせください。

当クリニックでもっとも多く手がけているのは大腸肛門疾患で、内視鏡でのポリープ切除は年間約200例、また「痔」の手術は年間250~300例を実施しています。痔には大きく分けて3種類あり、その6割近くを占めるのが「イボ痔」、残りのそれぞれ2割ほどが「切れ痔」「あな痔」となっていて、痔の種類によりそれぞれ治療方針が異なります。

「イボ痔」は医学的には「痔核(じかく)」と呼ばれ、肛門より内側にできる内痔核と肛門の外側にできる外痔核があります。症状が軽い場合は生活習慣の改善と薬物療法による保存的治療で改善が期待できますが、症状がひどい場合や再発を繰り返す場合には手術を検討します。
近年は、「ジオン注射(ALTA療法)」というイボ痔を切らずに注射だけで治すことができる治療法も登場しており、治療の選択肢として患者さんにご提案しています。

次に「切れ痔」ですが、医学的には「裂肛」と呼ばれます。肛門近くの皮膚が切れることで出血し、引き裂かれるような強い痛みを伴うため、「裂け痔」と呼ぶこともあります。便秘やダイエットによって便が固くなり、それが引き金になって発症してしまう例が多いようで、比較的女性に多く見られるのも特徴です。切れ痔はひどくなれば手術によるも検討しますが、患部に薬を塗り、便を固くしないための食事や生活習慣の改善指導、漢方治療などを併用しながら治療することで、大半のケースで症状が改善します。

痔の3タイプの中で、もっとも厄介なのは「あな痔」、医学的には「痔ろう」と呼ばれる症状です。肛門周囲膿瘍という、肛門近くに膿(うみ)がたまる症状がさらに悪化し、直腸から肛門周囲の皮膚にむかってトンネル状の穴があいてしまう状態になったものが、痔ろうです。
痔ろうは中年~老年期の男性に多く見られ、抗生剤などの内科的治療では治癒はほぼ見込めず、放置するとがん化の可能性もある疾患です。そのため、当クリニックでは痔ろうの患者さんに対しては、症状の軽いうちに外科手術で治療することを勧めています。

陥入爪や粉瘤の治療についてもお聞かせください。

遠藤先生の写真


陥入爪(かんにゅうそう)とは、爪の先端がまわりの皮膚にくい込み、痛みや出血を伴う状態です。俗にいう巻き爪の状態がさらに悪化したものと捉えていただいて問題ありません。陥入爪や巻き爪の治療法として、テーピング法やワイヤー矯正などがあげられますが、治療に痛みを伴うものも少なくありません。そこで、当クリニックでは「フェノール法」という、爪の根元にある爪母(爪を作る部分)の一部を薬品で処理し、そこから爪を生えなくしてしまう保険適用の手術をおすすめしています。もともとあった爪の幅が少しだけ狭くなってしまうという欠点はありますが、日常生活に支障を来たすことはなく、また術後の痛みが少なく、手技さえよければ「高い確率での根治」が期待できる治療法です。

つぎに、粉瘤(ふんりゅう)ですが、これは皮膚の内側に袋ができて、そこに本来皮膚から剥げ落ちるはずの垢(古くなった角質や皮脂)がたまることでできる良性の腫瘍のことです。始めはしこり程度の形状ですが、次第に大きくなって細菌感染を起こすと痛みや独特の匂いを伴います。身体のどこにでもできますが、特に顔、首、背中、耳のうしろなどにできやすいのが特徴です。自然治癒することはなく、切開して溜まった膿だけを出しても再発することが多いため、当クリニックでは袋状になった組織を完全に除去する外科的手術を提供しています。

ほかにも大腸ポリープ切除などの日帰り手術、または術後の経過観察と回復のための数日間の入院を伴う手術が、当クリニックで提供する主な外科的治療となっています。