患者さんの生活を理解し、神経内科から一般内科、訪問リハビリテーションまで地域の健康に貢献
開院当時はどのような患者さんが来られたのですか?
過半数を占めていたのは、脳卒中の後遺症の患者さんですね。大きな病院で「もう退院されていいですよ」と言われたけれども、やはり回復が物足りない。もっとリハビリをして、できるだけ以前の生活を取り戻したいという患者さんです。
今は介護保険を使ったデイケアやデイサービスがありますが、当時は外来でリハビリテーションを提供できるところは少なく、そういった方々が多くお見えになりました。
現在はどのような患者さんを多く診られているのでしょうか?
2006年4月の「診療報酬改定」で、医療保険で受けられる外来でのリハビリテーションに日数制限が設けられ、必要なリハビリテーションが最後まで提供できない可能性が出てきました。そこで介護保険を利用できる、リハビリテーションに重点においた短時間デイケアも受けられるよう、運営体制を変更しています。
また、当クリニックはのどかな霧島市の中でも山手に位置しているので、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、予防接種など一般内科でお見えになる高齢者の患者さんも多いです。ほかには、神経内科領域の症状でいらっしゃる方ですね。頭痛や偏頭痛、めまいや震え、物忘れの不安などの日常的な症状に加え、物が二つに見える、ろれつがまわらない、ご飯やお茶でむせる、手足の力が弱くなる、字が書けなくなるなど困り度の高い症状まで、脳や脊髄、末梢神経、筋肉を侵す病気の症状はさまざまです。神経内科の専門医として的確な診断をつけ、必要ならリハビリテーションも取り入れて回復に繋げています。
先生が日々の診療で心掛けていらっしゃることは何ですか?
「患者さんの生活を理解する」ことです。これはリハビリテーションの基本理念ですが、医療全体に通底することだと思います。患者さんの今見えている症状だけでなく、心理面にも配慮し、家族構成や自宅での生活の状況までしっかり捉えて治療にあたることが大事です。
具体的に、当クリニックのリハビリテーションは在籍する5人の理学療法士と連携して、歩行訓練、道具をつけての杖歩行の訓練、寝返りや起き上がりなど、自宅での生活がスムーズになる基本動作から、その人らしい生活が営めるようになるまで、お一人おひとりに合わせた効率的な指導を行っています。
また通院が困難な方には訪問でのリハビリテーションにも対応しており、理学療法士がご自宅を訪問し、家のなかの段差や階段などをチェックして、生活に即応したプログラムを組んで実施しています。