独自の評価基準で安全かつ質の高い医療の提供に尽力。病気の啓発活動も積極的に行い、地域の健康づくりに貢献
貴院では「おなかクオリティ」という独自の基準を設け、医療の品質管理に取り組んでいらっしゃるそうですね。

はい。当院では、すべての患者さんに高水準の医療を提供するため、独自の品質基準である「おなかクオリティ」を設け、日々の診療の質を見える化しながら管理しています。
たとえば、胃内視鏡検査では、組織を採取して調べる「生検」の実施率を定期的に集計・分析し、検査の適切性をチェックしています。大腸内視鏡検査では、ポリープの発見率や、挿入したスコープが最奥部の盲腸まで到達するまでの時間などを指標とし、検査の精度や所要時間を評価しています。
医療の安全性を確保し、どの医師が担当しても一定以上の質を保つことは、患者さんにとって非常に重要です。そのため当院では、検査や手術に関して明確な数値基準を設け、個々の診療内容について継続的に検証・改善を重ねています。
患者さんに安心して医療を受けていただけるよう、医療の「見えにくい部分」こそ大切にし、目に見える品質管理に取り組む──それが「おなかクオリティ」に込めた私たちの想いです。
先生が日々の診療で大切にされていることを教えてください。
私たちが目指しているのは、患者さんが「おなかクリニックに来てよかった」と感じ、安心してお帰りいただける医療の提供です。そのために、日々の診療ではコミュニケーションを何より大切にし、患者さんの気持ちにしっかりと寄り添いながら信頼関係を築いていくことを心がけています。
その取り組みのひとつとして、当院では診療の透明性と理解を深めていただくために、診察内容や検査結果、医師の所見などを記載した「診療記録」を毎回お渡ししています。ご自宅でゆっくり振り返っていただけるだけでなく、次回の診療時に不明な点を確認していただくことで、より納得感のある医療につながると考えています。
プライベートでは、どのような時間を過ごされていますか?
61歳から始めたテナーサックスの演奏が、今ではすっかりライフワークのひとつになっています。休日には時間を見つけては練習に励んでおり、音楽に没頭することで良いリフレッシュになっています。実は当院にも有志で結成したバンド「おなかスウィングス」がありまして、年に数回開催している市民向けの健康講座では、生演奏を披露しています。医療と音楽という異なるフィールドを組み合わせながら、地域の皆さんと楽しく触れ合える場になっているんです。
以前、100歳を迎えられた患者さんが詩を書かれたことがあり、その言葉に私のサックスの先生が曲をつけ、「百才音頭」というオリジナルソングが誕生しました。最近では、その曲を紹介する機会として八王子FMの番組にも出演させていただきました。音楽を通じて人とつながり、日々を豊かにする──そんな楽しみ方が、今の私にとって大切な時間です。
貴院の今後の展望についてお聞かせください。
当院では、日々の診療に加え、地域や社会全体の健康づくりに貢献する取り組みも大切にしています。その一環として、2014年にはNPO法人「二十歳のピロリ菌チェックを推進する会」を設立し、開院10周年記念事業として「二十歳のピロリ菌チェック」を実施しました。これは、20歳を迎える若年層を対象に、胃がんのリスク要因であるヘリコバクター・ピロリ菌の感染を検査・把握することで、将来的な胃がん予防に寄与しようという取り組みです。
さらに2020年には、開院15周年を機に「膵臓がんの早期診断プロジェクト」をスタートさせました。膵臓がんは、初期にはほとんど症状が現れず、見つかったときにはすでに進行しているケースが多い、非常に発見の難しいがんです。そのため、診断時には手遅れになっていることも少なくなく、5年後の生存率は10%未満とも言われています。こうした現状を少しでも変えたいという想いから、当院では高性能CTをはじめとした画像診断機器を導入し、血液検査や超音波検査とあわせて膵臓がんの早期発見に努めています。わずかな兆候も見逃さないよう、日々の検査・診療に真摯に取り組んでいます。
今後も、こうした社会貢献活動を継続・発展させながら、「病気の予防」と「早期発見・早期治療」に軸足を置いた医療を通じて、地域の皆さんの健康を守り続けていきたいと考えています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

今の時代、インターネットには医療に関するさまざまな情報があふれており、体調に不安を感じたとき、まず検索して調べるという方も少なくないと思います。ただ、その情報がすべて正確であるとは限りません。だからこそ、少しでも気になることがあれば、どうかご自身の判断だけで抱え込まず、私たち医療機関を頼っていただきたいと思っています。
胃がんや大腸がんは、内視鏡によって早期に発見し、早期に治療を始めることができれば、完治も十分に望める病気です。当院では「苦痛の少ない内視鏡検査」をはじめ、「体への負担が少ない日帰り手術」や「確かな技術に裏づけられた質の高い医療」を通じて、地域の皆さんの健康を支えてまいります。おなかの不調やおしりの違和感など、少しでも気になる症状がありましたら、どうか我慢なさらずにお気軽にご相談ください。皆さんが安心して笑顔で過ごせる毎日のために、これからも誠実に医療と向き合ってまいります。