胃・大腸内視鏡検査や痔の治療など専門分野を中心に一般内科診療まで幅広く対応。がんなど早期発見・治療に注力
現在、どのような患者さんが来院されていますか?

当院では、内科・消化器内科・肛門外科・外科を標榜しているため、来院される患者さんの症状も多岐にわたります。例えば、胃・大腸内視鏡検査を希望される方、痔でお悩みの方、乳がんが心配な方、咳や発熱などの風邪症状や花粉症など季節性疾患、ときには湿疹や皮膚のしこり、膀胱炎、怪我で縫合が必要な方など、幅広く相談に訪れます。年齢層も、お子さんからご高齢の方までさまざまです。
ひびのクリニックの診療方針は、「患者さんが何か困っている症状をしっかり聞きとる。対応できる範囲のことに患者さんの希望範疇で対応する」という姿勢です。日本の医療では、専門性を重視するあまり、患者さんが気になる症状を相談しても「専門外なので他の科を受診してください」と言われるケースが少なくありません。しかし、病気だけでなく、患者さんの心理的・社会的背景も含めて全人的に診ることが、医師としての本来の在り方ではないかと考えており、専門性にこだわりすぎず、幅広い視点で診療にあたる「ジェネラリスト」としての役割を大切にしています。
幅広い診療に対応されている中でも、特に力を入れている分野があれば教えてください。
勤務医時代、がんで苦しむ多くの患者さんと向き合ってきた経験から、がんをはじめとする重篤な疾患をできるだけ早期に発見し、適切な治療につなげることに特に力を入れています。
例えば、「他院で過敏性腸炎と診断されていた」「出血があるが、痔だと思って放置していた」という患者さんの中には、内視鏡検査をしてみると炎症性疾患が見つかったり、実はがんだったというケースも少なくありません。こうした経験を通じて、症状の背景にある原因をしっかりと調べる検査の重要性を改めて痛感しています。
特に、内視鏡検査は消化器系の病気を早期に発見し、迅速かつ正確な診断を行うために欠かせない検査です。しかし、「痛そう」「つらそう」といった不安から、検査を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。小さな病変の段階で発見できるよう、定期的な内視鏡検査の受診を促しながら、当院ではできるだけ患者さんの負担を軽減し、安心して受けていただける環境を整えています。
それでは、貴院が提供する内視鏡検査について詳しく教えてください。

胃の内視鏡検査については、経口内視鏡に加え、より細い経鼻内視鏡を選択できるほか、鎮静剤を使用し、眠った状態で検査を受けることも可能です。私自身、胃・大腸ともに内視鏡の挿入技術を磨いてきたため、基本的には鎮静剤なしでも苦痛の少ない検査を提供できる自信があります。しかし、特に初めて受ける方は不安を感じることが多いため、よりリラックスして検査を受けられるよう、鎮静剤の使用やスタッフの適切な声掛けによる不安の軽減により快適に検査を受けていただけます。
大腸内視鏡検査では、検査中に切除可能な大腸ポリープを確認した場合は、その場で切除治療を行っています。さらに、胃と大腸の内視鏡検査を同日に実施することも可能で、「通院の手間が省ける」と、忙しい患者さんからも好評をいただいています。
肛門の病気については、どんな診療が受けられるのでしょうか?
肛門の病気にはさまざまな種類がありますが、代表的なものとして「痔」があげられます。痔は大きく分けて、肛門にいぼ状の腫れができるいぼ痔(痔核)、肛門の出口周囲の皮膚が切れてしまう切れ痔(裂肛)、直腸と肛門の周りの皮膚がつながってトンネルができてしまう痔瘻(あな痔)などがあります。軽度の痔核や裂肛の場合、まずは薬物療法(抗炎症薬の内服や保湿剤の使用)を行い、併せて食生活の改善や座りっぱなしを避けるなどの生活指導を取り入れながら、症状の軽減を目指します。
症状が進行した場合、外科的治療としてジオン注射(ALTA療法)」を中心とした治療を行っています。これは内痔核(肛門の内側にできるいぼ痔)が適応となる治療で、以前のようなメスを使う治療ではなく、注射だけで治療できる低侵襲な方法です。当院では特にこの治療を中心として痔核治療における痛みの軽減、出血や変形による弁漏れなどおおきな合併症の減少を目指しています。ほかにも痔ろうのシートン法や血栓性外痔核手術、肛門ポリープ切除、外痔核切除、痔核結紮(けっさつ)術、肛門周囲膿瘍切開術などの手術などが対応可能です。これらの手術は日帰り手術が可能で、所要時間は約10~20分。術後は30分ほど安静にしていただいた後、ご帰宅いただきます。