内視鏡専門医としてのキャリアを軸に、より多くの患者さんをもっと総合的に診ていきたいと開業を決意
はじめに、医師を志したきっかけや消化器内科を専攻した理由を教えてください。
【石黒院長】私自身、幼少の頃は病気がちで、風邪をひいたり高熱を出したりしては、よく親に連れられて総合病院の小児科を受診していたんです。小児科では有名な総合病院だったこともあり受診待ちで待合室に座っていると、お母さん方の「ここの先生は素晴らしい」「先生のお蔭でうちの子はよくなった」といった先生に対する称賛の声がいつも聞こえてきました。そんな会話を受診のたびに聞いているうちに、「それだけ人から信頼されて感謝される医師という職業はすごいな」「自分も素晴らしいといわれるような医者になりたい」と幼心に思うようになったんです。成長するにつれ身体は丈夫になりましたが、「医師になる」という気持ちが変わることはなく、今に至ります。
消化器内科を専攻したのは、初めて内視鏡検査をおこなった時に何の抵抗もなくスムーズに操作でき、自分にすごく合っているなと感じたことが大きいですね。
また消化器内科は、胃・大腸はじめ、肝臓・腎臓・すい臓・胆のうなど、対象となる臓器や疾患が非常に多く、幅広い診療に携われることに魅力を感じたことも理由の一つです。
【阿部副院長】私の場合は、父が脳神経外科医でしたので、小さい頃から父の働く姿を見ていて「なれるならお医者さんがいいな」と、自然に思っていました。
消化器内科を専攻した一番の理由は、初期研修でもっともお世話になった先生が消化器内科医だったことですね。実は、医学生時代は「将来を担う子ども達の役に立ちたい」「外科のほうが手を動かしながら仕事をしたい自分の性格に合っているな」と小児外科を志望していたんです。それが、いざ研修医になってみると「阿部は内科向きだよね」と先輩方に言われることも多く、、、そうした矢先に自分ととても波長の合う消化器内科の恩師に出会い、興味を持つようになりました。
実際、消化器内科は内視鏡検査を中心に手を動かしながら診療を行うことも多く、ポリープ切除などの内視鏡治療も行える「外科寄りの内科」でもあったので、自分の性格にも合っているなと、その道に進むことに決めました。
石黒院長が「湘南いしぐろクリニック」を開業するまでの経緯を教えてください。
【石黒院長】大学卒業後は、岐阜総合病院に研修医として入職し、主に消化器内科の診療や入院治療・内視鏡治療に加え、救命救急医療にも携わり様々な診療科の臨床経験を積んできました。実にハードな研修期間でしたが、そこで培った経験は開業した今、特定の分野だけでなく患者さんを総合的に診るという点でとても役に立っています。
その後、羽島市民病院や東海中央病院・菊名記念病院を経て、昭和大学横浜市北部病院の消化器センターに入局します。昭和大学横浜市北部病院は、内視鏡検査数が全国でも有数の病院で、私自身も胃カメラ・大腸カメラともに一日数十件を担当していました。
消化器センターの医局には、各医師がおこなう胃カメラ・大腸カメラの全施術の様子をモニター越しに見ることができる部屋があり、私もよく先輩の手技を観察したり、自分の手技を指導してもらったりしていました。そのように切磋琢磨しながら、数多くの症例を通して実践を繰り返せたことは、自分のスキルを高める上で非常に貴重な経験になりましたね。
この地に開院するに至った背景には、石黒院長のどんな思いがあったのでしょうか?
【石黒院長】当時、大学病院では異動が多く、患者さんには「1年に1回は胃カメラをやったほうがいいですよ」と勧めているのに、肝心の自分が異動してしまって、一人の患者さんに長く関われないことが悩みになっていました。
そこで、「一人ひとりの患者さんに寄り添い、長くサポートしていきたい」と大学病院を辞し、かねてからご縁のあった湘南東武総合病院に移ったんです。
湘南東武総合病院では、培ってきた内視鏡診療や消化器内科診療に加え、糖尿病や脂質異常症・高血圧といった生活習慣病を含む内科全般の診療にも携わりたいと総合内科の専門医資格も取得して研鑽を積んできました。
ただ、やはり総合病院では専門分野に特化した診療を行うことが多く、「より多くの患者さんをもっと総合的に診ていきたい」という気持ちが強くなってきたこと、そして、内視鏡をはじめとする最新の医療機器についても、患者さんのために自分が必要だと思うものを必要なタイミングで使えるような体制をつくりたいと考えるようになり、大好きな海が近いこの湘南茅ヶ崎に「湘南いしぐろクリニック」を開院するに至りました。
阿部先生が、副院長に就任されるまでの経緯を教えてください。
【阿部副院長】大学卒業後は、湘南藤沢徳洲会病院で研修し、そのまま同病院の肝胆膵消化器病センターに入局しました。その当時、肝胆膵消化器病センターには非常勤医として石黒先生が勤務されていて、看護師やスタッフ方から「内視鏡が一番うまいのは石黒先生だから、先生のやり方をマネして勉強したほうがいいよ」と言われることが多く、「ぜひ教えを乞いたい!」と、思いきって話しかけたのが石黒先生との出会いですね。
丁寧にご指導いただき、本当に可愛がってもらいました(笑)。かなり前から「うちのクリニックに来ないか?」と誘っていただいていたのですが、規模の大きい病院のほうがさまざまな症例が経験できますし、専門医資格をしっかり取得してから自分の進路を決めたいと考えてお断りしていたんです。
湘南藤沢徳洲会病院で経験を積み重ね、無事に専門医を取得した頃にあらためて石黒先生から声をかけていただき、湘南いしぐろクリニックに勤務することを決めました。2022年4月からは副院長としてクリニックの運営にも携わりながら日々の診療をおこなっています。