痔の治療にも注力。地域のかかりつけ医としてていねいで安心感のある医療を提供
肛門疾患の治療は、一般的にどのような流れで進めるのでしょうか?

肛門疾患では、いぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、あな痔(痔瘻)といった「痔」の症状で受診される方が多くいらっしゃいます。
いぼ痔や切れ痔の場合は、まずは経口薬・軟膏・坐薬などを用いて、炎症や痛み、かゆみなどの症状を和らげながら、排便習慣の改善を図る「保存療法」が基本となります。食生活やトイレの習慣など、生活のなかで見直すべき点も含めて、ていねいにアドバイスしています。
いぼ痔のなかでも肛門の内側にできる「内痔核」に対しては、保存療法で十分な改善が見られない場合、薬剤を直接注入して痔を硬化・縮小させる「ジオン注射硬化療法(ALTA療法)」を行うことがあります。
また、症状が進行していて外科的治療が必要と判断された場合には、肛門ポリープ切除、外痔核切除、痔核結紮(じかくけっさつ)術、ハイブリッド手術(ジオン注射療法+切除)など、比較的負担の少ない手術を日帰りで実施しています。日帰りでの対応が難しい症例に関しては、近隣の専門病院をご紹介させていただきます。
大腸肛門病専門医・指導医の立場から、それぞれの患者さんの状態に応じて、負担の少ない適切な治療法をご提案しています。お悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
先生が日々の診療で大切にされていることを教えてください。
診療のなかで私が大切にしているのは、「患者さんにできるだけ負担をかけず、安心して受診していただくこと」です。当院ではWebサイトからの予約受付を行っており、スタッフ全員がインカムを装着して院内の状況をリアルタイムで共有し、待ち時間の短縮に努めています。それでも混雑時にはお待たせしてしまうこともありますが、そうしたときには必ず「お待たせして申し訳ありません」と一言お声がけし、気持ちよく診察を受けていただけるよう心を配っています。
また、私が座右の銘としているのが「鬼手仏心(きしゅぶっしん)」という言葉です。これは“鬼のような厳しい手で病を取り除き、仏のような慈しみの心で患者さんに接する”という、外科医の理想の姿を表しています。もちろん当院で行う診療は、手術だけではありません。それでも、どのような診療においても、「正確な診断・適切な治療と、あたたかな対応の両立」を常に意識しながら、目の前の患者さん一人ひとりに誠実に向き合うことを心がけています。
医療技術だけでなく、心から安心していただける診療を提供すること。それが、私の目指す医療のかたちです。

プライベートの時間は、どのように過ごされているのですか?
体力づくりも兼ねて、水泳とトレイルランニングに取り組んでいます。水泳は本格的に続けており、茨城県の競技大会にも出場しました。年代別の個人メドレーで2位をいただいたときは、やはり嬉しかったですね。
トレイルランニングは、登山道や林道、砂利道、湿地などの自然の中を走る競技で、舗装された道とは違う楽しさがあります。近隣の山を走っていると四季の変化も感じられますし、心身ともにリフレッシュできる貴重な時間です。運動を通して自分のコンディションを整えながら、日々の診療にも良い影響が出ているように感じています。
最後に、今後の展望と、読者へのメッセージをお願いいたします。
このたび、ベトナム・ダナン市にあるドンア大学医学部の顧問に就任し、そのご縁から当院の分院を現地に開設することになりました。私がこれまで培ってきた内視鏡診療や外科手術の技術を現地の医療スタッフに伝え、より多くの患者さんの治療に役立てていくことは、大きなやりがいであり、医師としての責任でもあると感じています。日本のみならず、世界の医療に貢献できる機会をいただけたことに、深く感謝しています。
もちろん、これまで通り、当院での診療にも全力を尽くしてまいります。経験豊富で思いやりのあるスタッフや手術の現場を熟知した看護師とともに、患者さんに寄り添い、ていねいで安心感のある医療を提供することが、私たちの変わらぬ使命です。また、地域の医療機関と連携して、地域にお住まいの皆さんを適切な医療へ繋ぐ“総合窓口”の役割も担ってまいります。ちょっとした体調の変化や気になる症状など、どんなことでもかまいません。ご自身の健康について少しでも不安があるときは、どうぞ気兼ねなくお越しください。
