消化器外科医としての長いキャリアを軸に、地域医療に貢献するため三代目院長を継承
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
当院は、約70年前に私の祖父が開業しまして、父が二代目院長、私で三代目になります。祖父も父も外科医で、幼い頃から医師の仕事を間近で見て育ってきましたので、私も自然と医師を志していました。小学生くらいのときから、「将来、何になりたいの?」と聞かれると「医師になりたい」と答えていましたので、その通りになりましたね。
外科医となられたのは、どのような理由からですか?
祖父や父の影響もあったと思いますが、もともと私は手先が器用なほうだったんです。プラモデルの製作や絵を描くといった細かな作業が好きで、得意でした。それに、中学から大学まで陸上部で短距離走に打ち込んでいたので、体力にも自信があったんです。
外科医には緻密な手技や、ときには長時間に及ぶ手術時間をまっとうする体力も求められます。知識も当然のことながら、経験の積み重ねや新たなことへのチャレンジも重要になりますので、探究心も強かった自分には外科医が向いていると思いました。
開業までのご経歴を教えてください。
金沢大学医学部を卒業後は大学院に進み、その後、金沢大学第一外科(現:心肺総合外科)に入局しました。約10年間、関連の基幹病院に勤務し、胃や大腸がんといった消化器外科を中心に、肺がんなどの呼吸器外科や心臓血管外科などのいろいろな分野の外科手術にも携わり、研鑽を積みました。
その後、東京医科学研究所の腫瘍抑制分野で学術研究支援員に就き、2年ほどがんに関する基礎研究に取り組んだ後、平塚市民病院で8年間勤務医をし、2015年4月に当院を引き継ぎました。
臨床から研究まで20年にわたって経験とキャリアを積み上げられ、医院を継承されたのですね。
基礎研究に携わったおかげで医学論文も容易に読み解けますし、平塚市民病院では消化器外科医として、さまざまな病期の胃がんをはじめ、大腸がんや膵臓がんなど、開腹手術だけでなく、内視鏡手術や腹腔鏡下手術も数多く執刀し、後輩の指導にも取り組んできました。充実した20年間だったと思います。
医師の仕事の中でも、私は、患者さんと直接対話をしながら診療するのが好きでしたので、「このまま臨床の現場に末永く携わっていきたい」と、長年にわたって地域医療を支えてきた当院を継承するに至りました。