ハードルの高い補聴器の使用もサポート。“急がば回れ”でよりよい医療を追求し、患者の健康寿命を延ばしたい
貴院の「ワンストップ補聴器専門外来」とは、どういった外来なのでしょうか?
一般的に補聴器を購入しようとすると、医療機関で聴力検査や診察を受け、それから店舗に行って補聴器を購入する必要があり、時間も手間もかかりがちです。そこで、聴力検査・診察から補聴器の購入、フィッティングやメンテナンスまですべて当院で一括して対応できるようにしました。それがワンストップ補聴器専門外来です。
補聴器は高額ですし、ご自身に合ったものを選んで使い続けていただくには調整や点検なども必要で、患者さんにとってはさまざまな面でハードルが高いと感じられるのではないかと思います。当院は認定補聴器専門店と連携しながら、医学的な観点から補聴器の使用をサポートしますので、購入を検討している方や使用についてお困りのことがある方は、ぜひご相談いただきたいと思います。
この外来を設けた背景をお聞かせいただけますか?
今、ご高齢の方が増えていますが、年を重ねると音が聞こえにくくなります。そうして難聴が進行すると、必要な音を聞き取れなくなって生活に支障を来たしたり、人とのコミュニケーションが難しくなって社会的に孤立しやすくなるといった問題が生じます。その結果、認知機能の低下を引き起こし、認知症の発症リスクを高めると考えられており、耳鼻咽喉科でも着目されている課題のひとつです。
その対策となり得るのが、補聴器の使用です。補聴器を使って聞こえ方を改善することで、そうした問題を解消して認知機能の低下を防ぎ、健康寿命を延ばす効果が期待できます。日本は海外に比べて補聴器の普及率が低いのですが、東京23区をはじめとして補聴器購入の助成制度を導入する自治体も少しずつ増えています。そういう状況のなかで、患者さんが生活の質(QOL)を維持・向上できるようお手伝いしたいと考え、この外来を設置しました。
先生が日々の診療で心がけていることを教えてください。
患者さんにとってよりよい医療を追求し、最善を尽くすことです。例えば、縫合の際にあと1、2針必要なところを省いてしまうと、そこから出血してしまうこともあります。そうなると患者さんにとっては心身の負担が大きくなりますし、医療スタッフにとっても、追加の対応が必要になってしまいます。
そうしたことにならないよう“急がば回れ” の精神で、最後の最後まですべきことを怠らず、必要なことを着実に行うことを大切にしています。
お忙しい毎日と思いますが、お休みの時間はどのようにお過ごしになっていますか?
中学生の頃からテニスを続けており、現在も医師会のテニスクラブや地元の仲間と一緒に、週に1〜2回はテニスで汗を流しています。ときどき、市民大会にも参加していますが、皆さんとても強くて、なかなか勝つのは難しいですね(笑)。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
先ほど補聴器のお話をしましたが、加齢に伴って食べ物や飲み物を飲み込みづらくなる嚥下障害も耳鼻咽喉科の領域で着目されている問題のひとつで、その予防策として筋力を維持して嚥下障害を予防する「嚥下体操」などが推奨されています。当院でもそういった情報をお伝えするなど、患者さんの健康寿命を延ばしQOLを高めていただけるような取り組みを積極的に取り入れていきたいと考えています。
当院は交通の便がよく、土・日・祝日も診療していますので、通勤や用事のついでなどにお立ち寄りいただきやすいと思います。またWebサイトやLINEから予約も可能ですし、Webサイトでは診察の待ち時間の状況もご確認いただけます。
そうして、できるだけ患者さんにご負担をかけることなく、総合病院並みのよりよい医療を提供したいと思っています。これまで培ってきた知見や経験、技術を生かし、地域の皆様の健康に貢献できるよう努めてまいりますので、何かお困りのことがありましたらぜひお越しください。