大学病院で研鑽を積んだ高度医療を活かし、オールマイティに診療する4代目病院長に
はじめに、医師を志したきっかけをお聞かせください。
当病院は、大正8年に曽祖父が開院し、以来、祖父、父と代々受け継がれてきました。私で4代目になりますが、生まれたときには、もうそうなる運命だったんですね。物心ついた頃には、「父の後に病院を継ぐのは私」というのが刷り込まれていて、私もそのつもりでいましたから(笑)、多少の足踏みはしたものの、真っ直ぐ医師の道を進みました。もちろん、ただ親の期待に応えたわけではありません。幼い頃から患者さんに慕われている父の姿を見て育ちましたから、そういう医師になりたいという思いもありました。
消化器外科を専攻され、乳腺専門医でもあると伺いました。理由を教えてください。
昭和大学医学部を卒業後、同大学病院の一般消化器外科に入局し、胃がんや大腸がんをはじめ消化器疾患全般の症例を数多く経験してきました。消化器外科を専攻したのは、幅広い疾患を診療できるうえに、外科処置による治療や術後の管理、最期のお看取りまで、すべてに携われるからです。当院の周辺は医療機関が多くありませんので、なんでも診療できる「よろずや(万屋)」が求められます。私の場合、いずれ実家の病院を継ぐことが既定路線でしたから、地域の皆さんの求めに応じられる医療を修得したほうがいいだろうと思ったんです。
また、私が乳腺専門医でもあるのは、一言で言ってしまうと、成り行きでしょうか(笑)。当時、一般消化器外科には、胃、大腸、肝臓、膵臓、乳腺と臓器別のグループがありました。博士号を取るために大学院に進んだのですが、何を研究テーマにするかを決めるときに「興味深いテーマがあるから」と乳腺グループの先生に声をかけていただきました。それをきっかけに乳腺について知見を深め、乳がん関連の研究で学位を取得。そのまま昭和大学病院の乳腺外科を専攻するようになり、2010年ブレストセンター開設時に着任、2013年に当院を継承するまで乳腺専門で研鑽を積んできました。