頭痛、認知症、パーキンソン病の診療にも尽力。患者が何でも相談できる身近な存在でありたい
先ほど、脳卒中の前兆となる症状について触れられましたが、パーキンソン病に関してはいかがでしょうか?
パーキンソン病にも、前兆としてあらわれやすい症状があります。たとえば「動作がゆっくりになった」「手が震える」「歩幅が狭くなり、小刻みに歩くようになった」といった変化が見られることがあります。こうした初期症状にいち早く気づくことが、早期診断・早期治療につながります。
パーキンソン病は、脳内で運動をコントロールする神経伝達物質「ドパミン」が不足することで、体を動かすための指令がうまく筋肉に届かなくなり、動作に障害が生じる病気です。発症の原因は完全には解明されていませんが、主に高齢者に多くみられ、加齢がひとつのリスク因子とされています。ただし、若い方が発症するケースもあるため、年齢に関係なく注意が必要です。
パーキンソン病は難病指定されていることもあり、「自分には関係のない病気」と思われがちですが、実際には65歳以上の高齢者のうち、約100人に1人が罹患していると言われており、患者数は年々増加しています。高齢化が進む中で、より身近な疾患となりつつあるのが現状です。
「最近、歩き方が変わった」「動作が遅くなった」「手の震えが気になる」といった症状に心当たりのある方は、早めに当院までご相談いただければと思います。早期に診断し、適切な治療やリハビリを行うことで、症状の進行を緩やかにし、より良い生活を維持することが可能です。
日々の診療では、どのようなことを心がけていますか?

ごく基本的なことではありますが、まずは患者さんのお話にじっくり耳を傾けることを大切にしています。患者さんがどのような症状に困っておられるのか、何を不安に感じ、どのような治療を望まれているのかを丁寧に汲み取り、その思いに寄り添った診療を行うことが、私の診療の基本姿勢です。
そのためには、まず患者さんに「ここなら安心して話せる」「どんなことでも相談できる」と思っていただける関係性が欠かせません。クリニックという場所柄、お体のことが中心の会話にはなりますが、診察室では、時には何気ない雑談も交えながら、リラックスしていただけるような雰囲気づくりを心がけています。
小さな不調や不安を気軽に話せるような、身近で信頼できる存在でありたい。そう願いながら、地域の皆さんと日々向き合っています。
お忙しい中、診療時間以外はどのようにお過ごしになっていますか?
現在は子どもがまだ小さいこともあり、診療時間外の多くを育児や家族との時間に充てています。休日は一緒に遊んだり、家族でお出かけをしたりと、子どもと過ごす時間が今の一番の楽しみですね。
私自身、もともとスポーツが好きで、中学時代からずっとテニスに打ち込んできました。学生時代にはスキーやスノーボードもよく楽しんでいたので、子どもがもう少し大きくなったら、一緒に体を動かしながら、そういったスポーツの楽しさも共有できたらいいなと思っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

当院は規模こそ小さなクリニックですが、だからこそ患者さんお一人おひとりと丁寧に向き合い、時間をかけて診療を行うことを大切にしています。より専門的な検査や高度な医療が必要な場合には、地域の医療機関としっかりと連携し、適切な医療につなげてまいりますので、どうぞ安心してご相談ください。
また、当院では一般内科に加え、神経内科の診療にも力を入れています。脳神経の病気というと、少し特別なもののように感じられるかもしれませんが、頭痛や認知症、パーキンソン病などは、実は多くの方が関わる身近な疾患です。早期に気づき、正しく対応することが、健康な毎日を支える大きなカギとなります。
ご自身では「ちょっとしたこと」と思われる症状にも、重大な疾患が隠れていることがあります。「大したことじゃないかもしれないけど……」と迷われたときこそ、お気軽に足を運んでいただきたいと思います。これからも地域の皆さんの「かかりつけ医」として、身近で頼れる存在であり続けられるよう、日々真摯に診療に取り組んでまいります。