整形外科疾患に幅広く対応。骨粗鬆症の予防・治療と通所リハビリで高齢者のQOL維持・向上に尽力
どのような患者さんが来院されていますか?

ご高齢の方が多いのはもちろんですが、実際には小学生から後期高齢者まで、幅広い世代の方が来院されています。
時間帯によっても患者層は異なりますが、例えばスポーツ外傷で受診する小・中学生や高校生も多く、クラブ活動やスポーツチームでのケガを診る機会が増えています。一方で、高齢者の方に多いのは変形性疾患や急性の腰痛症です。変形性膝関節症や変形性股関節症といった疾患は、加齢とともに進行し、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。そのため、痛みの管理や機能回復を目的とした治療を行っています。
また、さきほど触れた通り、当院では骨粗鬆症の治療にも力を入れており、他院から紹介を受けるケースも増えてきました。特に、高齢の患者さんには骨密度を正確に把握するための検査を積極的に実施し、早期発見・早期治療につなげています。骨粗鬆症は放置すると骨折を引き起こし、寝たきりの原因にもなりかねないため、適切な検査と継続的な治療が重要です。
それでは、注力されている骨粗鬆症の診療の流れを教えてください。
当院では、骨粗鬆症の診断にX線照射を用いた高精度な骨密度測定法「DEXA(デキサ)法」を採用し、必要に応じて採血検査を実施して骨の代謝状態を詳しく評価します。その結果をもとに、患者さんやご家族と相談しながら、適切な治療方法を決定していきます。
治療は内服薬、点滴、注射などがありますが、軽度~中等度の骨粗鬆症では、骨の吸収を抑えて骨密度の低下を防ぐことを目的に、ビスホスホネート製剤を内服または点滴で投与して進行を遅らせます。重度の骨粗鬆症やすでに骨折を起こしている場合には、骨形成促進剤(PTH製剤など)を使用し、骨の再生を積極的に促す治療を行います。特に脆弱性骨折(弱性骨折)を起こした直後の患者さんには、この治療を推奨することが多く、骨折の治癒促進や再発リスクの低減が期待できます。
当院では、患者さんの状態に応じた適切な治療を提供し、単なる進行抑制にとどまらず、積極的な改善を目指すことを重視しています。今後も最新の医学的知見を取り入れながら、より効果的な治療の提供に努めてまいります。
介護保険による「通所リハビリテーション」(デイケア)にも注力していらっしゃいますね。

高齢者のADL(日常生活動作)を維持し、生活の質を向上させるために、医療だけでなくリハビリの分野でも支援できればという思いから、通所リハビリテーションを開設しました。
当院のリハビリテーションの特徴は、個別対応を重視している点です。集団リハビリではなく、理学療法士が一対一で対応し、関節の可動域や筋力の状態を細かくチェックしながら、それぞれの患者さんに適したリハビリを提供しています。また、一部ではマシンを活用したリハビリテーションも導入し、より効果的なリハビリ環境を整えています。
現在、当院には理学療法士が6名在籍しており、医療保険・介護保険の両方でリハビリを提供しています。通院でのリハビリが難しくなった患者さんは、医療保険から介護保険を利用した通所リハビリへと移行するケースも多く、その人の状況に応じた切れ目のないリハビリ支援を実現しています。
また、すでに一部スタートしていますが、今後は訪問リハビリテーションにも本格的に取り組んでいく予定です。通院が困難な方には、こちらからご自宅に伺い、その方に合ったリハビリを提供することで、生活の質の向上をサポートしていきたいと考えています。
日帰り手術にも対応されていると伺いました。
はい。バネ指(弾発指)、手根管症候群、皮下の良性腫瘍の切除など、局所麻酔による日帰り手術に対応しています。特に、バネ指は指の曲げ伸ばしに痛みや引っかかりが生じる疾患であり、日常生活に支障をきたすことが多いため、手術を希望される患者さんも少なくありません。また、粉瘤(アテローム)や脂肪腫といった皮下腫瘍の除去も行っており、美容面や機能面での改善を目的とした手術ニーズに対応しています。
現在、手術は週に1件のペースで実施しており、患者さんの状態をしっかりと見極めながら、安全で確実な治療の提供に努めています。