悪性腫瘍の早期発見は、かかりつけ医の重要な責務。その信念に基づいた適切な診断を目指す
日々の診療で心がけていることを教えてください。
やはり、患者さんの命に関わる悪性腫瘍の早期発見は、かかりつけ医としての重要な責務だと考えており、真剣に取り組んでいます。例えば、血尿とか、前立腺がんの指標となるPSA(前立腺特異抗原)値の異常など、初期診療でいち早く発見できれば、それだけ早期治療が可能になり、患者さんの命や生活の質(QOL)の維持を目指せますからね。この点に関しては、常に力を入れて取り組んでいます。
適切な診断ができるようご尽力されているのですね。
そうですね。長年の経験を通じて、悪性の兆候が疑われる場合は、すべて基幹病院へご紹介するようにしています。これまで、そのスタイルで診療を続けてきましたが、最近では患者さんとのコミュニケーションに関して難しさを感じることが増えてきたのも事実です。特に泌尿器科の疾患は、患者さんが羞恥心を抱くことが多いため、私は一定の距離を保ちながら淡々と接するようにしているのですが、中にはもっと親密な対応を求める患者さんもいらっしゃるようで、そのバランスに悩むこともあります。もともと無愛想な性格ですし(笑)、このスタイルで長年診療を続けてきたため、急に変えるのは難しい部分もありますが、患者さんの訴えに真摯に耳を傾け、適切な診断を行うという医療の基本から外れないよう努めてまいります。
お忙しい日々だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?
ゴルフは冬場を除いて、運動も兼ねながらほどほどにラウンドを楽しんでいます。まあ、自分でも“ヘタの横好き”だと思いますけどね(笑)。それと、美術館で絵を鑑賞するのも好きで、良い気分転換になっています。昔は気に入った作品があると、つい手に入れたくなるほど夢中になっていましたが、今ではただ観るだけで十分満足できるようになりました。釣りもお付き合い程度ですが、たまに楽しんでいます。
さいごに、今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

この場所で開業してから、気づけばもう30年近くが経ちました。これからも、自分の力が及ぶ限り、地域医療に全力で取り組んでいくつもりです。その一方で、そろそろこの医院の後継についても真剣に考えなければならない時期に差し掛かっていると感じています。
この医療村には、総合病院に匹敵するほど多くの診療科が揃っており、調剤薬局も完備されています。現状では、ほとんどの心身の不調に対して、この医療村内で初期診療を受けることが可能です。しかし、私が引退した際に診療科目の一部が抜け落ちるような事態になれば、地域の皆さんにご不便をおかけすることになるでしょう。そういったことのないよう、しっかりと準備を進めていきたいと考えています。
患者さんには、どんなことでも気軽に相談していただけると嬉しいですね。医師と患者さんも人間同士なので、どうしても相性の良し悪しはあるかもしれませんが、私は常に真摯な姿勢で診療に向き合っています。その原動力となっているのは、地域の皆さんに元気で健やかな日々を送っていただきたいという強い想いです。
体の不調を感じたときは、無理をせず、決して放置しないでください。どんな小さなことでも構いませんので、まずは気軽に診察を受けに来ていただきたいと思います。