軽症から重症まで、総合病院並みの検査と診療を提供。西洋医学と連携した中医学・漢方治療では、がんや難病患者のQOL向上を目指す
現在、どのような患者さんが多く来院されていますか?

当院では、呼吸器・循環器内科を含む内科全般から、一般外科、心臓血管外科、さらには漢方治療まで、複数の診療科目を掲げて幅広い診療を行っているため、来院される患者さんの年齢層や主訴も多様です。
比較的若い方では、風邪やインフルエンザ、花粉症などのアレルギー症状で受診される方が多く、また漢方治療を希望して来られる患者さんも一定数いらっしゃいます。中高年層では、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の継続的な管理を目的とした通院が中心です。
私の専門である心臓血管外科に関連しては、心不全の管理や心臓手術後のフォローアップ、また重症筋無力症の内科的治療を目的とした患者さんも来院されています。整形外科の領域では、リハビリ目的の通院が多く、特に高齢の方を中心に、膝や腰の痛みに関するご相談が多い印象です。
また、交通事故など救急搬送の受け入れも行っており、外傷を負った患者さんには、傷の縫合などは当院で対応し、骨折など専門的な治療が必要な場合には、近隣の専門病院を紹介するなど連携体制を整えています。
貴院が力を入れている中医学や漢方を取り入れた診療について教えてください。
中医学や漢方診療では、特にがんや難病を抱える患者さんからのご相談を多くいただいています。患者さん一人ひとりの体質や病状、治療の目標に応じて、オーダーメイドで漢方薬を処方しています。
たとえば、がんと診断され、これから手術を控えている患者さんには、術前から体力や免疫力の維持・向上を目的とした漢方薬を服用していただくことで、周術期の安定と術後の回復をサポートします。また、抗がん剤や放射線治療を受ける患者さんに対しては、治療にともなう吐き気や倦怠感、食欲不振、痛みなどの副作用を軽減するために、支持療法として漢方薬を併用するケースも多くあります。
中医学では、「病気そのもの」だけでなく、「その人自身の状態」を重視して治療を組み立てます。そのため、標準治療だけでは対応しきれない不調や体質的な弱さに対しても、細やかにアプローチできるのが特長です。当院では、西洋医学と東洋医学の強みを融合させ、患者さんのQOL(生活の質)の向上につながる医療を目指しています。
西洋医学との併用で、中医学・漢方治療を行っているということですね。

はい。特にがん治療において、漢方だけで治療を進めるということは基本的にありません。まずは総合病院などで、手術や抗がん剤・放射線治療といった西洋医学による標準治療は従来通り受けていただきます。そのうえで、漢方治療はそれを補完する形で、並行して取り入れています。
一方で、西洋医学では再発を繰り返す進行がんや末期がんになると、治療の選択肢が限られてくる場合があります。そうした状況でも、中医学や漢方では「全身のバランスを整える」「自然治癒力を引き出す」という考え方に基づき、薬が服用できる状態であれば、患者さんの体力や生活の質(QOL)を維持・向上させることを目指した治療が可能です。実際に、がんとの共存を図りながら長期間生活を続けている方も多くいらっしゃいます。
貴院で西洋医学のがん治療を受けることもできるのでしょうか?
基本的には、西洋医学によるがん治療は大学病院などの高次医療機関で受けていただいていますが、主治医の先生と連携し、当院で経口の抗がん剤治療を継続するケースも一部あります。
とはいえ、多くの患者さんは、西洋医学の標準治療は大学病院などで行い、それと並行して当院で中医学・漢方治療を受けるという形をとっています。当院では、患者さんの主治医と緊密に情報を共有しながら診療を進めていますので、安心してご相談いただければと思います。
整形外科やリハビリテーションにも力を入れているそうですね。

整形外科では、私の実弟である清水邦明医師が、月に一度予約制で「スポーツ整形外来」を担当しています。邦明医師は、サッカー日本代表のチームドクターとして12年間活動し、FIFAワールドカップにも複数回帯同した経歴を持つ整形外科専門医※3です。特に、スポーツによる外傷や障害の診療を得意としており、慢性的な膝の痛みや治療に難渋している症状についても専門的な視点から診察を行っています。お困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
また、リハビリテーション部門では、理学療法士が常駐し、運動療法を中心とした個別対応を行っています。理学療法機器やウォーターマッサージベッドなど、専用の設備も充実しており、痛みの軽減や機能回復を目指して、定期的に通院されている患者さんも多くいらっしゃいます。特に高齢の方を中心に、膝や腰の慢性痛、術後の機能回復、運動機能の維持など、幅広い目的でリハビリを提供しています。
※3 日本整形外科学会整形外科専門医